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Twitterで学ぶM&A - M&A増加の理由から支援サービスまで、まるっとまとめ -

Twitterで学ぶシリーズ。今回はM&A。

最近は大企業のグローバルなメガ寡占化する市場への対抗、CVCなどを活用したオープンイノベーション、そして、国内の事業承継/雇用の継続など、いろんな場面で「M&A」が出てきますよね。

今、私が働かせていただいている会社でもM&Aは重要施策のひとつです。優秀な事業開発のメンバーが案件を発掘・エグゼキューションしています。

そんな訳で、昨今、かなり頻出するM&Aに関する話を以下のようにまとめてみます。

M&Aが増加している2つの理由

足元、2017年のデータではあるがM&Aの件数はIN-IN/IN-OUTが中心に増加。

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金額ベースだと、17年には減少しているが、概ね増加傾向と言える。

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領域は違いますが、アジアのM&Aも増加するとイントラリンクスが予想していますね。

では、M&Aはなぜ増加しているのでしょうか。この増加には2つの理由が考えられます。

ひとつが長らく続く好景気による資金の積み上がり(もしくは資金調達コストの低減)と、もうひとつが事業サイクルの短縮化による「時間を買う」必要性の高まりです。

こんな背景で、特に大企業のメガ寡占化やCVCなどを活用したオープンイノベーションの取り組みが増加しているようです。このことについては、すがまんさんが触れています。

また、M&Aをスタートアップのイグジットという捉え方をすると、IPOからM&Aへ!という流れが増えていく余地があるようです。まだまだ増えるM&A。

スタートアップ買収の5つの目的(+新しい働き方)

こうして、M&Aが増加してくると、昔はネガティブな「身売り」というイメージがありましたが、今では売る方にとっても、買う方にとっても重要な戦略的な打ち手のひとつとなってきます。このことについては朝倉さんの記事が参考になります。

冒頭にM&Aの目的として「グローバル寡占化への対抗」「オープンイノベーション」「事業承継」と区分してみましたが、もう少し詳細に見ている記事が梅木さんの「スタートアップ買収の目的を5つにまとめて紹介」です。

以下記事より抜粋

1.事業シナジー目的。シナジーによる買収先の売上利益が伸びる
→非常にまともなパターンだが、事業シナジーは絵に描いた餅で終わる方が多い
2.盛り上がっている市場に参入したい。(時間を買いたい)
→ゲームが盛り上がった時代はこのパターンが多かったと聞きます
3.新しいことやってる感を出したい
→スタートアップM&A童貞の事業会社か、KDDIに見られるパターン
4.タレントバイ
→時代の寵児感は出るが、大抵買収側はペイしない。採用広報を兼ねるという考え方もある
5.救済買収
→ダウンラウンドなどで買収となり、タレントバイを兼ねる場合もあるが、大抵ペイしない

また、目的違えば、ストラクチャリングも変わってきます。業務提携から資本提携。そして、資本を絡めた時の会社法上選択するストラクチャ(株式売却、事業譲渡、合併、分割、移転)がありますね。

● ミニ起業家という新しい働き方

そして、個人的に注目したいのは、スピーディーな事業立ち上げと事業譲渡という形の兆し(スキームよりもワークスタイルとして面白すぎる)。

例えば、bosyuというツイッターを利用した求人ツールの開発とCaster社への事業譲渡がスピード感を持って行われた様子は以下の記事。

これこそ、新しい働き方な人たちのバイブルのひとつである「フリーエージェント社会の到来(ダニエル・ピンク)」で書かれているワークスタイルのひとつ。「ミニ起業家」を彷彿させます。

ちなみに、bosyuも面白いのだけど、今回のディールの買い手になったCaster社も基本リモートで会社運営をしている興味深い会社です。

また、売買の対象として興味深いM&Aとして「SKE48の事業譲渡」。事業の取得価格は30億円と小規模とは言えませんが、「こんなものまで売り物になるの?」という驚きのニュース。M&Aというよりはグループ内再編的な取引なのかもしれません。

CISCOの元・偉い人が語るM&Aの10の教訓

と、サイズや目的が色々あるものの、M&Aが買う側/売り手側の戦略的な打ち手として、重要だということがわかりました。

この重要性と難易度などについて、1993年から20年間シスコに勤め、180社ものM&Aに携わったJohn ChamberさんがM&Aについて語った記事があります。

印象に残った key lesson は以下

1. M&As Are A Vaccine Against Irrelevance
事業サイクルは益々短期化している。アップルやグーグルでさえ、スタートアップの買収はルーティンである。全ての企業がスタートアップとの提携や買収を真剣に考えるべし。
9. Expect Some Failures
シスコ社は1/3のM&Aを失敗した(失敗の定義も重要ですが)とのことです。理由のひとつは市場の変化。失敗から学び、損失のカットの準備をし、従業員の再配置をせよ。とのこと
5. Build Your Playbook(s)
シスコ社は失敗体験に基づき、プレイブックを作成し、20年間微修正を加えた。このプレイブックは他社にも適用できるもの。(要は汎用的な定石があるということでしょう)

やっぱ、色んな難しさがあると言われてる。M&Aの◯◯割は失敗すると言われますしね。

M&Aの実行支援サービスを3つ紹介

施策として高い重要性を持つ一方で、色んな難しさを孕むM&A。だからこそ、様々な実行支援サービスが生まれています。

そんな中、マッチングサービスに特化したり、テクノロジーを活用したり、かなりコミットした形でサービス提供したり、色々なM&Aを支援するサービスが出てきているようです。

知っているベースで、新し目のサービスを並べてみました。

FUNDBOOK(ファンドブック)
FUNDBOOKはM&Aのあり方を変える革新的なM&Aプラットフォームです。自社の成長戦略にとって最適な譲渡案件をデータベースから導き出し、案件の選定から交渉、成約までをサポートします。
(経営陣のバックグラウンドがいかつい)
M&Aクラウド
(売り手が買い手を探すプラットフォームのようです。M&Aのマッチングサービスなんて!とVCに言われながらも設立したら、色々と案件が整理しているぞ!という呟きもどこかで拝見しました)
WARC
M&Aアドバイザリー事業:戦略立案からクロージング、PMIまでをトータルサポート
(コンサル、タレントエージェンシー事業に加えて、M&Aアドバイザリー業務も行なっているよう。設立メンバーが会計士で且つスタートアップのCFO/エグジット経験者なので、サービス提供の肌感がありそうなのが魅力のひとつな気がする)

M&Aの難しさ

以前の上司が「PMI(Post Merger Integration)は経営そのもの」と口にしていたのが耳に残っております。この表現は、短期間ながらも、全ての機能を横断的に整合させながら進捗させるという観点で正しい気がします。

経営に例えられるくらいですから、M&Aはやっぱり難易度は推して測るべしですね。

ちなみに、「M&Aの失敗とはなんだ?」という議論は、定量的には買収計画が未達で、当該会社にかかる「のれん」を減損処理したことなどが挙げられそうです。

そして、失敗の原因は「買うとき」と「買ったあと」で出てきます。一つ目が計画が高すぎた(買収価格が高すぎた)という話で、二つ目が計画を実行ができなかった(PMI)という話です。

例えば、入札案件になってしまうとどうしても、買収価格を釣り上げざるを得ないという力が加わる。そして、誰が見ても高いという価格でも、買わなければ!という熱が入って買収を実行すること。

はたまた、買収企業の担当者が買収担当者と違うことにより、私が買った会社じゃないよといった計画と実行の断絶みたいな話で、せっかくの良い企業もシュリンクしてしまう的な話も耳にしますね。

まとめ

年末年始の頭の整理を趣旨に、M&Aに関して、色々とまとめさせていただきました。tweetを使わせていただいたみなさまありがとうございました。

2019年も引き続き、様々なtweetから学んだことをまとめて見て、何かの気づきに繋がったら嬉しいです。ではでは。

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宮澤 佑輔
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