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スタートアップが名著「ユニクロ」から学べる5つのこと

みなさま、評判の本、「ユニクロ」を読まれましたか?

素晴らしい本でした。

この読書体験からの正しい影響の受け方は、黙って一層仕事に打ち込むことだと感じたのですが、この本を読んでリーダーたちの視座が上がることも大切だとも思ったので、読書感想文を書きました。

全ての起業家、事業家、経営者はもちろん、意識を取り扱うコーチや瞑想実践者にもとてもおすすめの本です。読まれていない方は、ぜひ一読くださいませ。

実際、リスペクトする友人に日本のために読んでくださいという謎なメッセージを送りつけました。ごめんね。

スタートアップ企業の経営の一翼を担わせていただいている立場から、本書から受け取った5つのことを書いてみます。小説ではないので、ネタバレみたいなことは気にしていません。


1.同業・異業種からの飽くなき研究と洞察力

まず、最初に書くべきは柳井さんの飽くなき研究と洞察力です。GAP、ネクストといった海外同業はもちろん、パナソニック、本田技研、マクドナルド、本書でも度々出てくる「プロフェッショナルマネジャー(ハロルド・ジェニーン)」。書籍はもちろんのこと、人にも会いまくってきたようです。

印象に残っている描写は以下です。

30坪ほどのフロアに置かれた大きな執務机を取り囲むように、壁いっぱいに本が並んでいた。置かれているのは企業や経営に関する本ばかり。それも、ウォルマートやIBMなど海外企業を扱ったものが目に付く。単に飾ってあるのではなく、多くの本の表紙がボロボロに擦り減っており、読み込まれていることが一目でわかった。企業経営者のオフィスというより、どうみても経営学か何かを専門とする学者の研究室のように見える。

第4章 衝突 - 理解されない野望(Page 146)

柳井さんがとてつもなく、幅広く同業から異業種まで飽くなき研究を継続し、そして、洞察(気付き)し、ひたすらに経営に活かしてきたそうです。

2.発明・PMFを繰り返している

広島の繁華街である袋町に出店した「ユニーク・クロージング・ウェアハウス」は早朝の出店から客が殺到した様子はまさに発明であり、PMFの瞬間でしょう。そして、その店舗形態を標準店舗モデルを決めて、郊外のロードサイドにひたすらに出店を繰り返していたグロース施策。寡占状態を作るためにもスピードを重視。SPAへの進化と「つくった服をいかに売るかではなく、売れる服をいかにつくるかか」の変革。フリースブームと原宿店。海外を含めた旗艦店戦略、そして、足元で行われている「情報製造小売業」への転換。まさに、発明とPMFの繰り返しです。

3.世界一になると決めている

「僕は行き先を決めた。どうせ行くなら行き着く先まで行こうと決めた。それは世界一になることです。世界一になるためにこの仕事をやろうと決めたんです。」

第4章 衝突 - 理解されない野望(Page 167)

それまでは毎日の努力がいつか成果として表れると信じていた。暗黒の10年の日々にもコツコツと努力さえ積み重ねていけばきっといつか報われる日が来ると信じていたのである。(中略)柳井は自分の考えの甘さを痛感したという。そして考え方を180度変えることになった。

第4章 衝突 - 理解されない野望(Page 170)

逆算思考、夢に日付をつける。色々なリーダーたちが言葉にし、実践してきたことですが、柳井さんの本にも書かれています。

私が20代の頃、GAP原宿店があり、その頃に既にユニクロはグローバルのアパレル競合に勝つと宣言していたことをメディアを通じて耳にしていました。その時、確実に私は「ユニクロは何を言っているのだろうか」と懐疑的に感じていたこともあり、それから20年近く経った今、この柳井さんの言葉が刺さりました。

そして、この目標には深い洞察やPMF仮説や、失敗を恐れないマインドと行動、仲間が支えているものだと感じました。

4.失敗を恐れないマインドと行動

SPAへの第一歩を踏んでいく前提整理のレポート「P・B・開発(プラベートブランドの開発)」の二枚目には、「失敗したらどうするのか。ほとんど失敗する」と記載されていたそうです。

「そもそも新しいことをやると失敗するものなんですよ。でも、失敗することは問題じゃない。(大切なのは)失敗から何を得るか。失敗の原因を考えて次に失敗しないために何をすればいいのかを考えるのが経営者なんですよ。だから、失敗しないと始まらない。そういうことです。」

第5章 飛躍 - 東京進出とフリースブーム

この後に本書では、無謀を良しとするのではなく、柳井さんは「失敗するためにとことん考え抜け」とも話しているとのことです。当然なのですが、ここの部分も個人的には日々難しさを感じるので記載しておきます。

失敗に対する最も印象的なエピソードの一つはSKIPを事業撤退し、GUを急成長させた柚木さんへの柳井さんからの「26億円も損して、そんなに授業料を使って『お先に失礼します』ですか。そんなのはないでしょ。お金を返してください」という、結果として再起を促した声掛けです。

経営者の共通点のひとつが、経験学習を回していることについては、以下のnoteでも触れています。

5.社内外に仲間を作り続けている

暗黒の10年を支えた浦さん、岩村さん、上場後のユニクロを支えた方々、海外事業を支えた方々、クリエイティブを支えた方々。華僑、東レ、島精機製作所などなど。どこにフォーカスを当てるかが定まっていませんが、とにかく一人ではできない大きな夢に向かう仕事を、社内外の仲間を作りながら取り組んでいるということを感じさせられました。それぞれの立場、視点での物語が紡がれ、現実が立ち上がっています。

おわりに

自分がこのnoteを読み返すことも前提に、読んだ本の該当ページをパラパラと探しながら、書いてみました。

最後に、この5つを体現するために最も重要なことを引用しておきます。

通帳と印鑑を手渡された時には正直なところ、父が心血注いで育ててきた家業を託されたという実感がなかった。だが、時間がたつにつれて言葉数が少ない父の思いが伝わってきた。すると、ひりひりとした感覚が背筋を走る。
「潰せない」
後にこの禅譲劇について柳井に問うと「あれは『(商売人としての)命をお前に預ける』ということでした。それまでも覚悟はしていたけど、あの時にこれは逃げられない、失敗できないと気づいたんです」と答えた。

第2章 暗黒時代 - もがき続けた雌伏の10年

以上です。

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