無題のプレゼンテーション__13_

仮想通貨業界の動向と資金調達の民主化について

久しぶりに仮想通貨業界についての記事です。個人的には短い期間でしたが、当事者だったという気概を持って、業界情報をアップデート!また、仮想通貨・ブロックチェーンというテクノロジーから、少し視座を上げて、「資金調達の民主化」についても言及いたしたく。

仮想通貨業界の国内メガ企業の動向

まず、関与していた渋谷系グリーンな会社の仮想通貨事業からの撤退。このあと、いくつかの大きな会社の事業撤退が続いたことに鑑みても、事業体としての意志決定としては妥当なものだった気がします。もちろん残念でしたけど。

そして、GMOのマイニング事業の350億円(連結ベース)の損失計上と、自社マイニング事業は継続するものの、同機材の製造・販売事業については撤退するという意志決定もありました。市況が悪いので、世界的にマイニング事業は厳しい状況と言われています。

さらに、DMMも金沢を拠点にしているマイニング事業の撤退と、カジュアル層向けの仮想通貨取引所cointapもリリースを中止を決めました。なお、すでに運営しているDMM bitcoinは継続しています。

と、大手の仮想通貨事業からの撤退ニュースが相次ぎました。一方で、前向きなニュースとしては、年明け2019年1月11日にコインチェックが仮想通貨交換業の登録を完了したことでしょう。

また、交換業登録に関する会見では社長、執行役員の方々が、「足元の交換業ビジネスに注力するのは当然だが、ICO/STOといったビジネスにも注目している」という趣旨の発言があったようです。

注目したい領域は「資金調達の民主化」

こういった状況の中、ブロックチェーン技術にこだわるこだわらないは置いておいて、個人的には「資金調達の民主化」というテーマが気になる。このテーマは少し噛み砕いて書いてみると、今までは大型、もしくは小口でも条件があまり良くない資金調達しかできなかった現状をテクノロジーや新しい事業モデルを使って打開しようぜ!というものです。

この「資金調達の民主化」という話には、二つの側面があって、ひとつが、「資金調達をするプラットフォーム」をいかに作って行くかという側面。テクノロジーは当然の事ながら、規制の話も絡んでくる。もうひとつが、「プロジェクト起案の民主化」という側面。これは、小規模のプロジェクトであっても、社会的に起案し、共感を得て、資金調達を行うことができるようになるということ。

金融サービスの民主化はいくつかもアプローチがある。五月雨式だが、つらつら書いてみる。ちなみに、弁護士先生のご意見を紹介させていただきますが、金融業には法律の話がついてまわる証左と言えるなと改めて。

ICO/STO

仮想通貨界隈の資金調達の民主化と言えば、ICO/STOの話。昨年の話だと、ICOよりも現状の有価証券規制を活用しやすいSTOの社会実装が先行するという話だったかと。

そんな中、2018年12月21日に「仮想通貨交換業等に関する研究会 報告書」が公表された。これについて、法律事務所Zeloの小笠原先生が詳しい解説記事を公開してくださっています。

記事によると、今回の報告書ではセキュリティトークンは流動性が高い「一項有価証券」に該当するのが基本線。これに伴い、規制の考え方も以下のように整理されているとのこと。

トークンの売買やその仲介等を行うには、第一種金融商品取引業の登録取得が必要になるとされている。トークンの自己募集に関しても発行者を登録主体とした業規制を導入するという方向性は示されている

この辺の制度の方向性については、改めて、理解に時間をかけてみます。

なお、AMTの長瀬弁護士も2019年、STOの金商法枠内での規制整備が進むことをtwitterで言及していらっしゃいます。

トランザクションレンディング(toC)

個人的には昨年以前によく耳にした「信用評価」「信用経済」というワードに日もづいて紹介されることの多かった、toCのレンディングの話。特に有名なのが、中国アリババの「芝麻信用(セサミ・クレジット)」ですね。

個人個人の信用が過去の取引の状況に応じて、数値化される。そして、数値化された信用に応じて、受けられるサービスや借りられるお金も変わってくるというもの。少し前のWiredの記事ですが、リンクを貼り付けてきます。

今、国内でも、様々な企業がスマホ決済に参入、もしくはその準備をしていますが、ゆくゆくは決済だけでなく、レンディング事業も開始するのが一般的な捉えられ方ですね。

トランザクションレンディング (toB)

トランザクションレンディングにはtoBもありますね。例えば、リンクを貼ったようなマネフォがサービス提供をしています。同社はクラウド会計を提供し、クライアントの会計データを持っています。このデータを利用して、クライアントの信用評価の効率化を促進し、資金調達コスト(調達時間を含めたコスト)を低下させたレンディングサービスを提供しています。

なお、現職でもデータ領域に着目している事業会社に勤務しているので、中長期的には面白い事業の展開になればと期待しています。

また、今、バーチカルSaaSが着目されていますが、これはデータビジネスそのものということができます。要はクラウドに顧客データが蓄積されていくからです。

ここら辺も法的解釈によって、ビジネス展開が変わってくるものなので、簡単なことは言えませんが、SaaSビジネスから、金融ビジネスはもちろん、他の領域のビジネスとの掛け算も生まれてくるのでしょうね。まさに、Data is money!!

(加えて、データとの親和性の高いAI/機械学習の活用もトレンドになってくるという話ですね。)

クラウドファンディング

最後はクラウドファンディング。プロジェクト組成型の資金調達プラットフォームで、寄付型、前払型(商品・サービス交換型)、そして、いくつかサービスが立ち上がり始めた株式型も含まれる投資型というもの。

国内では、Ready formakuakecampfireなどが有名ですが、超少額、投げ銭的なフォーカスしているpolcaも面白い。この世界観は「行動する人」を後押しするというもの。

フットワーク軽く「行動できること」が幸福度を上げるファクターになるということも耳にしますが、こういったプラットフォームが充実していくトレンドを見ると確かにそんな見方もあるなと感じる次第です。

ちなみに、話は若干逸れますが、Ready forのCLOを務めてる草原弁護士の資金調達関連のツイートはとても参考になります。

さいごに

長くなってしまった。仮想通貨のことを振り返ろうと思ったのですが、そこを起点に、フィンテック(資金調達の民主化)の話に及んでしまいました。

こうやって、資金調達の民主化について書きたくなってしまうのは、この変化が、「自分らしく生きられる社会になってきた」とも言えるし、「自律的に頑張る必要性が出てきた涙」とも言える。お金の調達方法の変化は、個人・組織のスタンスの変化、そんなことからも目を背けられないなと改めて。

個人、小さなプロジェクト、スタートアップ、中小企業、NPO、地方自治体、いろいろな組織体がお金の話をもっともっと主体的に直面しなければならなくなってくる。そんな時に、どんなサポートができるのか、会計士のテーマのひとつだと思ってます。

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