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生成AI事業を立ち上げるために大切な3つの鍵

ペイミー取締役CFOの宮澤です。

これから「CFO Insights」として、CFOロールから見えるスタートアップ経営、新規事業立ち上げ、生成AI、組織づくり、ファイナンスなどをテーマに発信してみようと思います。

初回は、弊社においても非常に重要な「生成AIを活用した事業づくり」についてです。

スタートアップや新規事業開発に従事されている方のインスピレーションになるとともに、未来の仲間に届くと嬉しいです。また、生成AI領域は黎明期のため、知見の共有や交換につながればと思っています。

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本論の前に、少し背景に触れさせていただくと、弊社は2022年2月から現在の卜部代表体制になり、「テクノロジーを活用した働き方の変革支援(言葉は仮)」をテーマに活動し、祖業の給与前払い事業のほかに「AIイネイブラー事業」の立ち上げを行っています。

本事業は様々なユースケースを検証しており、以下のリンクは営業領域を前提としたものです。現在は他のユースケースの優先度を上げて取り組んでいます。

黎明期の生成AIは大きな可能性を感じる一方で、事業活用上はまだまだ不確実性が高い技術です。そのような中、"弊社視点"で生成AI事業を作る上での大切だとピン留めしている3点をご紹介します。

生成AI事業を立ち上げるために大切な3つの鍵

01 生成AIの実務耐久性

多くの方がChatGPTに初めて触れた時の驚きを持った反面、実務で生成AIを使うようになったかと問われれば、そこまで使われるようにはなっていないのが実情ではないでしょうか。

チャット形式の生成AIの実務利用は限定的で、生成AIが組織的に実務で活用するにはいくつかの前提条件を抑える必要があることを示唆しています。

このチャプターでは、実務耐久性を持った生成AIを活用したサービスを作るために前提となる事項をご紹介します。

生成AIの実務耐久性

生成AI活用領域の選定

2つに区分して書いています。1.ユースケースの大枠の選定、2. ユースケース内の生成AI・人・テックの役割分担の設計です。

  1. ユースケースの大枠の選定
    「コンテンツ生成とインサイト抽出」のユースケース分類が紹介されています。弊社ではこの他にも選定基準を持って、ユースケースを選択しています。チームによって個性が出るところかと思います。

  2. AI/人/テックの役割分担
    業務はAIだけで完結することはない一方で、それぞれが得意な領域が異なるので、適切なアサインをする必要があります。業務によっては、AIのアウトプットを人が評価するという分担も重要です。

サービス体験の設計

こちらは、1.生成物の水準と安定性の確保、2.ワークフローの設計にブレイクダウンしています

  1. 生成物の水準と安定性の確保
    生成AIはアウトプット生成に揺れが生じます。同じプロンプトでもアプトプットは常に同じとは限りません。なので、選択した業務で求められる生成物の水準を設定し、そこに向かって、安定的にアプトプットが生成されることを確保する必要があります。

  2. ワークフローの設計
    チャット形式の生成AI利用が機能するユースケースは限定的なので、いかに利用されるワークフローを設計、いかに生成AIを組み込んでいくかが非常に重要な論点です。それもこちらの記事で触れられています。お客様に受け入れていただけるワークフローの考え方も整理をしています。

ということを弊社のAIイネイブラー担当の本田さんがXでポストしています。また、これらの開発・実装技法として、AIスタック、ローコードおよびスクレイピングの活用についてが重要論点ですが、この記事では触れていません。

02 スタートアップする

スタートアップする

弊社は生成AIを活用した事業をスタートアップすることを前提にしています。つまり、短期間のうちに、社会的に大きなインパクトを上げる規模に到達させるということです。

事業構想

テーマ(マーケット)、サービス(アプローチ方法)とタイミングが思考要素になります。AIイネーブルメントというテーマにアプローチするサービス設計とタイミングをどう仕立てていくかが非常に重要です。

なお、タイミングの観点ですと、2023-2024年までチャット形式の生成AI活用が試行錯誤されました。これからは一段とワークフローにAIエージェントが組み込まれていくことでより一層、組織内での生成AIの活用が本格化していく時期なのではないかという議論があります。

実行手順

次に、スタートアップしていく手順です。1.逆算設計、2.小さな価値提供から始め、3.大きな価値に育てる複利設計をするというものです。以下のリンク先の記事た参考になります。

価値の複利性を支える要素はデータ、ワークフロー、お客様アカウント、チーム内のノウハウ/コーディングで、これらをお客様の価値になるように組み込んでいくことが前提です。

03 顧客起点の組織的アプローチ

顧客起点の組織的アプローチ

生成AIの活用事業をスタートアップするには、組織的にアプローチさせることが非常に有効だと捉えています。そのための組織構造と組織文化に触れてみます。

組織構造

組織構造の観点では、お客様を起点にした探索とAI開発の両輪の設計・運用を重要視しています。大切なのは、お客様のニーズとAIテクノロジー(ソリューション)の仮説検証サイクルを最小単位で設計することです。

組織文化

組織文化の観点では、1.組織的経験学習の実践、2.自己挑戦が社内で適切に促され、そのために3.相互の存在承認(心理的安全性の確保)がなされていることが重要な要素です。サイバーエージェント流に言えば、「挑戦と安心はセット」というものでしょう。

この部分については、以下のnoteでも触れています。

おわりに

以上が、これまで弊社の新規事業チームが活動の中で見出し、現在活動に置いている前提条件の概要です。生成AIは新しいテクノロジーであるが故に、全てが手探りです。なので、活動した結果を目的に照らして、何がわかったかを次の活動の前提条件としてピン留めすることがクリエイティブな仕事をするために重要です。

近い将来、多くの組織の中に大小様々なAIエージェントが当たり前のように組み込まれ、気づかぬ間に人と生成AIのコラボレーションが広がっていくはずです。弊社はそのような未来づくりを逆算経営で取り組もうとチャレンジしている企業の一つです。

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冒頭にも書きましたが、本記事がスタートアップや新規事業開発に従事されている方のインスピレーションになるとともに、未来の仲間に届くと嬉しいです。また、生成AI領域は黎明期のため、知見の共有や交換につながればと思っています。

ペイミーの「CFO Insights」第一弾の「生成AIを活用した事業づくりにおける3つの鍵」のご紹介でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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