無題のプレゼンテーション__19_

仮想通貨はどの資産に当たるのか?(会計処理草案より 2/3)

先日12月6日に企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した「仮想通貨の会計処理草案」の結論の背景で、個人的に面白いなと思った論点に触れてみます。

前回触れましたが、草案は、仮想通貨は資金獲得に貢献しているため、会計上の資産とすることと(暫定的に)しています。この結論を受け、今回は仮想通貨はどの資産に当たるのか?という論点です。

草案では類似しそうな会計上の資産の既存の会計基準と比較検討を行っており、比較している会計基準は1.外国通貨、2.金融資産、3.棚卸資産、4.無形固定資産です。

結論から言うと、仮想通貨の独特な特徴故、直接的に参照可能な既存の会計処理はないとしています。要は、仮想通貨は仮想通貨という会計上の資産だと結論付けているのです。

4つの会計基準との比較結果

草案は4つの会計基準と比較し、直接参照不可能とした理由は以下の様に整理しています。

外国通貨:仮想通貨は決済手段として利用されることもあるため、外国通貨に似ている点がある。しかし、そもそも会計基準における通貨は「法定通貨」であることを想定しているため、仮想通貨は対象にならない。

金融資産:仮想通貨は投資(投機)目的で保有されることもあるため、金融資産に似ている点がある。しかし、そもそも金融商品は金融資産と負債の裏表があるが、仮想通貨はその様な関係のもの(資産と負債)はないため、金融資産に当たらない。

棚卸資産:仮想通貨はトレーディング目的の保有、または、交換業者が売却を予定して保有する場合であれば、棚卸資産に該当するかもしれない。しかし、決済手段としての保有というケースがあるため、必ずしも、全ての仮想通貨が棚卸資産に該当する訳ではない

無形固定資産:仮想通貨は資金決済法において「電子的な財産的価値」とされているため、無形固定資産に該当するかもしれない。しかし、トレーディング目的で保有されるケースがある中で、その様な分類の無形固定資産は、会計基準上存在しないため、適当でない。

まとめ

改めて、仮想通貨は「法定通貨ではないが、決済手段になる」「決済手段だけでなく、投資(投機)対象となる」「デジタルでできている」といった独特な特徴を持っています。

それ故、仮想通貨は、既存の会計基準で規定している資産とバッチリ同じで、その既存の会計基準を直接適用できるものはないという結論で、これを受け、仮想通貨の独自の会計基準を作成することとなったということですね。

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