【おすすめ映画】組織に求められる人材になることで、前代未聞の偉業を成し遂げた女性たち
こんにちは、三上結香です。
映画サイトなどへのコメントだけでは伝えきれないと思った映画に出会えたので、久しぶりにnoteでおすすめ映画について書こうと思います。
Hidden Figures(2016)
その名も『Hidden Figures』。日本では、「ドリーム」という名前で上映されたそうです。経営の大先輩に教えてもらって、シンガポール航空の飛行機の中でさっそく観てみました。
時代は1960年代、アメリカ。
この映画で着目したい点の1つは、1960年代のアメリカが舞台であるということです。当時のアメリカは人種差別が激しく、日常生活においてバスなどの乗り物や食堂やレストラン、学校やトイレなど、さまざまな場所で白人専用かそれ以外かを分けられていました。恋愛するにも結婚するにも同じ人種のみ。そんな中、「公民権運動」としても知られるように、人種差別撤廃に向けての運動が最も活発化されたのが1960年代です。
白人専用の椅子にアフリカ系アメリカ人が座り込みをして抗議をしたり、マーティン・ルーサー・キング牧師が"I Have a Dream"と演説をして人種差別の撤廃を唱えたり、いよいよ人々が声をあげ始めた時代です。
この映画は、公民権運動が始まる少し前の話ですから、未だ人々の頭の中には差別が当たり前のようにある状態だということがわかります。「常識=多数派意見」だとすると、このような社会で生きるには相当な覚悟が試されます。それを踏まえた上でこの映画を観ると、より感慨深いものになるのではないかと思います。
旧ソ連との宇宙開発競争を担った「マーキュリー計画」
アメリカと旧ソ連は第二次世界大戦後に冷たい戦争と言われ、お互いに直接火花をあげることはしなかったものの、40年近くの間、一触即発の冷戦状態でした。さまざまな危機が一瞬で核戦争に発展する可能性を秘めており、その時代の政策は常に緊張感が伴ったことは言うまでもありません。
そんな中、1957年に旧ソ連が人工衛星の打ち上げを成功させました。そのことがアメリカにどれほど影響を与えたのでしょうか。アメリカは旧ソ連よりも早く有人宇宙飛行を実現するためにNASAを設立し、国力をあげて研究を進めました。その計画のことを「マーキュリー計画」と言い、映画の中では1961年に初めて成功した有人宇宙船「フリーダム7」の歴史的瞬間が描かれています。
宇宙が好きな方々にとっては、一部、当時の映像が流れるのでとても興味深く、感動的だと思いますので、ぜひ見てみてください。
当時のNASAで働くアフリカ系アメリカ人女性3人が主役
さて、この映画は、「Negro(ネグロ)」と自分達のことを表現する3人のアフリカ系アメリカ人女性です。幼い頃から数学が得意で、優秀な人材である3人はNASAで働いています。今でこそ、人種に関係なく優秀な人が当たり前のように仕事に就き、活躍することは当たり前ですが、上記の通り、当時はそうではありません。
女性のエンジニアが非常識だったり、管理職への黒人登用も非常識。女性は結婚して家事をしながら子育てをすることが当たり前だという時代ですから、そもそも女性が働いていることすらも非常識だと思われている節も映画の中では描かれていました。ジェンダー問題、そして人種問題、Wで差別がある中で彼女たちは仕事をしていました。
だからこそ、彼女たちの姿は、仕事が大好きな私にとって非常に勇気をもらいましたし、途中涙する場面も多々ありました。なんといっても、これが実話であるということがさらなる感動を生んでいます。
日本語では「ドリーム」と訳されていますが、そんな夢のような話ではなく、リアルで、泥臭くて、悲しくて、そして感動する話です。「Hidden Figures(隠された数字/人物/象徴)」という表題の方が個人的にはしっくりきました。
前代未聞なことを成し遂げる人の強さとは
この映画で私が一番印象に残っているのは、理不尽な状況に置かれたとしても、諦めることなく信念を持って仕事を全うする姿です。ところどころ、もし私だったらどうするか?と問われるような場面がありました。
例えば、実力があるのにマネージャーに登用してもらえなかったり、白人専用の高校を卒業していなければ昇格テストも受けられなかったり、黒人だというだけでコーヒーポットも独自のものを使うよう案に指示されたり。もし私だったら、自分以外の全員が白人で、理解してもらえない状況で仕事をし続けるよりも、別の楽な道を選択してしまいそうです。そんな時に、不利な状況を嘆くのではなく、真正面から戦った3人の姿に心から感動しました。
「別の道でもいいかもしれない」という甘い逃げ道を無くし、一度決めた道を正解にするまで邁進すること。言い訳せずに、「どうやったら?」を常に考え、周りの力を借りたり、新しいチャンスを誰よりも先にモノにしたり、戦っていく姿は圧巻で、勇気をもらいました。
実力をつける以外に勝つ術はない
同時に、私が改めてやろうと思ったことは、実力をつけることです。上述のように、彼女たちは信念を持って仕事を全うされていて、そのメンタルを学ぶのはもちろんですが、そもそもそれぞれの実力で周りが認めざるを得ないような状況にしてきたということは忘れてはいけない点です。
女性だから、黒人だから、結婚しているから、子育てをしているから、お金がないから、周りに認めてもらえないから、などさまざまなことを理由に「だからできない」ではなく、「だからやる」に変えて、実力を磨くことに厭わなかったことが成果につながっていると思いました。
映画の中では、主人公キャサリーンの上司が、トイレの差別をなくすために看板を自分で打ち割るシーンがありました。看板を外した後に、「NASAでは数字の前で平等であり、差別はない」と言い残した強烈なシーンです。
上司がこの行動に至ったのには、理由があります。キャサリーンの仕事ぶりや、数学に対する見識の深さ、真にマーキュリー計画の実現を望み、それが可能だと信じている姿などを通して、キャサリーンの実力を買っていたからこそです。
これ以外にも、白人専用の高校に通えるように裁判で直談判をしたマリーもエンジニアとしての実力を買われていましたし、多数のアフリカ系女性をまとめるドロシーも、新たにIBMの機械が導入された際にいち早くプログラミングを学び、他の女性に教えることをやっていました。
彼女たちは、決して周りを動かそうとしていたわけではなく、自分の管理下にあることを淡々とやり続けていただけです。しかしそのことが結果的にNASAに功績をもたらし、NASAにとって彼女たちはいなくてはならない存在になりました。
【まとめ】まずは、求められる人材になること
今、働く私たちにとって、時代はどんどんと進化し続けています。昔からずっと言われていることではありますが、産業が発展し、AIが発展し、人々の仕事がどんどん失われていく可能性がある時代です。さらには、誰かが私たちを守ってくれることも残念ながらありません。
そんな中、今私たちがやらなければならないことは、所属する組織で、チームで、人たちの中で、求められている人材になることだと考えます。「あなたが必要だ」と言われるような存在になって、初めて一人前と言えるのではないでしょうか。
この映画は、どんな状況や環境においても、自分の市場価値を高め続けるために学び、努力し続ければ偉業を成し遂げることができるということを証してくれています。
私もまずはお客様や取引先、お世話になっているたくさんの方々に重宝されるような人材となって、恩返しをしていきたいと思います。
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