自作キーボードが変える業務効率化の世界
株式会社サイキンソーの翠川です。
今回は私の趣味の一つである自作キーボードを使って、弊社の業務効率化を進めることができたので、そちらについてまとめてみようと思います。
自作キーボードってそもそもなんですか
キーボードといったらどんなものを思い浮かべるでしょうか。
一般的には↑の画像のようなキーボードをイメージすると思います。
市販品のキーボードはキーの物理配列・マッピングがほとんど決まっています。一方で、自作キーボードは、一からキーボードを自作するのでそれらの制約がなく、自分だけの自分が欲しい仕様のキーボードを作ることができます。自作キーボードの中には以下のような分割キーボードも多数存在します。(Lily58 Pro というキーボードで私の愛機です)。
このような、ほしい仕様の自分だけのキーボードを作ってしまおうというものが自作キーボードです。
なんで自作するのか
自作キーボードの最初のモチベーションは
・通常のキーボードに不満がある
・体の不調(肩こり、腰痛など)
が多いのではないでしょうか。
私の場合のモチベーションは
・使う機会の多い「Enter」「back space」キーを小指で押したくない(親指で押したい)
・分割キーボードで肩こりを予防したい
でした。
自作キーボードがどのように業務効率化につながるの?
ここまで自作キーボードについて語ってきましたが、これをどうやって業務効率化に結びつけたかということをお伝えしていきたいです。
サイキンソーの業態
サイキンソーは腸内細菌の検査・分析を主軸としたビジネスを展開しています。具体的には検査キットを販売し、そのキットを使用してお客様にサンプル(便)を採取していただいて、そのサンプルを弊社のラボで検査します。
このサイキンソーの重要な業務の一つに、お客様から送られてきたサンプルを受領する業務があります。
受領といっても、単純に送られてきたものを受け取って保管するだけではありません。
・サンプルを検査の種類ごとに仕分け
・サンプルの情報をバーコードで読み取る
・封筒や書類のデータとデータベースの情報を照合
etc...
受領作業の動線を整理
従来の受領作業を図に表すと以下の通りになります。
左右の手でツールや書類の持ち替えが発生して複雑です。とくにバーコードリーダーとマウスの持ち替えや画面クリックなどの積み重ねが受領担当者にとって非常に大きい負担となっていました。
カスタムキーボードを導入すると以下のようになります。
右手の持ち替えは必要なくなり。マウスで行っていた動作をカスタムキーボードのキー一つ一つに割り当てることで簡便になります。
カスタムキーボードに置き換えたい作業を考える
動線が整理できたので、具体的に受領作業でどのような操作をするか考えました。
受領作業で使用するツール
受領作業はサイキンソー内部で開発している以下のような画面のウェブツールで行っています。
(1)受領処理ボタンをクリックする(受領処理ダイアログが開く)
(2)チェックボックスを選択する
(3)受領ボタンをクリックする
この辺りをマクロで設定したらマウスで操作する箇所をボタン一つに置き換えられるため良さそうです。
ショートカットの設定方法
キーボードのマクロに置き換える動作は決定しましたが、そもそもその動作をショートカットとして定義しなければマクロに設定できません。幸いツールがウェブ上のツールだったため、accesskey 属性を HTML の要素に設定することで対応できそうでした。
参考:https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/HTML/Global_attributes/accesskey
機種選定
要件
・キーは少なくて大丈夫(10キー以下)
・設定が簡単なものがいい
この条件で自作キーボードのキットを探してみました。
自作キーボードのショップは国内なら遊舎工房がデファクトスタンダードなのでここで探せば問題ないです。
今回は Quick7 というキットを選定しました。
選定理由は以下の 3つです。
・最大9キーと必要十分
・コンパクト
・Remap というウェブ上でキーボードの設定ができるツールに対応している
組み立て
Quick7 のキットの中身はこのような感じでした。
組立方法は付属している説明書の QR コードから取得します。
説明書通りにはんだ付けしていきます。
スイッチまではんだ付けが完成したらファームウェアを書き込んで、一度動作確認します。
全てのキーが動作することを確認できたのでケースを組み立てます。
あとは Remap でマクロの設定を行ったら完成です。
導入
既にファームウェアや必要な設定はキーボード本体に書き込み済みなので PC 側には特別なソフトのインストールなどは必要ありません。PC と USB ケーブルで接続して導入完了です。
かかった費用と期間
キーボード一台あたり ¥ 7,771
期間 2週間(実際の作業時間は構想〜組み立てまでで2〜3日です)
最後に
サイキンソーは腸内細菌をビジネスの主軸に置いた会社です。腸内細菌は一般的に、多様性が高い状態(様々な種類の細菌が共存している状態)が良いとされています。腸内細菌と同じように、会社全体として社員の多様性を大事にしてます(仕事でキーボードづくりが許される会社はなかなかないのではないかと思っています)。
サイキンソーでは「細菌叢で人々を健康に」というミッションを共に実現する仲間を募集しています。
また、以下のフォームからカジュアル面談をお申し込みいただくことが可能ですので、お気軽にお申し込みください。
その他、Twitter(@Sango6mdr) でも相談を受け付けているのでお気軽に DM などでご連絡ください。
この記事は Lily58 Pro で執筆しました。