プレゼンテーション_6

STAR WARS EP9を考える

何が頭に残った?

ぼくはSWのGeekでは全くない。メディ=クロリアンがどうとか、みたいなことには一切興味もない。ぼくはただの映画好きなので。

そんな立場のぼくが東宝新宿を出てすぐに思ったことは「さあて、ご飯なに食べるかな」だった。何も残っていなかった。なぜ、そんなことになってしまったのか。

この戦犯はJJか、キャスリーンか

JJはEP7で大小様々な風呂敷を大量に広げた。その風呂敷を畳む作業にライアンは一切手を付けずやりたいことを貫き、結果本作でJJはずっと風呂敷を畳んでいた。その終始続く作業に情動が乗っかるはずもなく、結果何も残らなかった。広げ過ぎたJJのミスか、浅はかさがあからさまなキャスリーン・ケネディのミスか。知る由もないが、あまりにも陳腐なのがこのシークエルだった。

取って、付けた、問題点

疑問と問題点があまりにも多過ぎる。これをひとまとめの文章にするのはとうてい無理なので箇条書きにすると理解してもらえると思う。
○ 誰を、あるいは何を倒せば銀河に散らばった帝国軍に勝ったことになるのか(作品内のルール、目的)を提示していない。(そもそもEP6で同じことをやっているのでこれは延々と続くのでは?)
○ 上のルールが明解ではない為、クライマックスでポーやフィンたちがやったことが一体なんの意味があったのかわからない(曖昧すぎる)。
○ ダースベイダーはEP6でアナキンに戻ったよね?カイロレンはあのマスクに何を思っているのかがわからない。(ルークはアナキンが闇から抜け出した功績を誰にも教えてないってこと?)
○ なんでチューした?
○ C-3POのあの件、観客ばかにしてんの?
○ チューバッカのあの件、わけわからん。
○ なんで大事なあれ、タトゥーインに埋めれば良い!ってレイちゃんが思ったことにしたの?レイア、ポカンとしてんぞ?ルークはあそこから出て行きたかったんだぞ?
○ あの両親、誰?なんなの!?

上記したことは、まさに取って付けた設定や出来事で何かに結びついていない。こういう一つ一つのそれらは人物の情動に結び付いていなければ意味をなさない。だから何も残らない。

ぼくは何を求めていたのか

本作がどうすればおもしろくなっていたか、なんてのは知らない。ぼくが観たかったのは以下の通りだ。
○ レイちゃんの成長譚
○ ポーとフィンのいちゃいちゃ(3人の友情)
○ カイロレンの闇抜け
ぶっちゃけこの三つだけで、この三つが美しく絡み合ったクライマックスをニコニコしながら観たかった。

シークエルの功績は、この4人を生み出したことで、その造形、関係性こそがこのシークエルが描ける唯一のことだった。
中でもレイちゃんの成長譚は丁寧に描いて欲しかった。

反乱軍のぶかぶかのヘルメットをかぶり空を見上げていた少女が、宇宙に旅立ち、帝国に立ち向かう。
伝説のジェダイの一人になれる可能性があると知ると同時に自らの出生を知り、打ちのめされる。大切な何かを失い、アナキンのように闇落ちしかけるがメンターや友人、あるいはベンの手を借りて闇から抜け出し、自らを真の意味で受け入れる。
一人の人間として立ち向かう方向を理解し、打開策と共に反乱軍のヘルメットをかぶり立ち向かう。

レイちゃんのそれさえ観れればよかった。ルーカスは歴史修正主義者だったけど、人物の情動をないがしろにはしなかった。アナキンが闇落ちする姿も、地方議員のパルパティーンが最高議長になるまでも丁寧に紡いでいた。映画は、あるいは物語は、変化する姿を切り取る媒体なのだから。

何も残らなかったのは、それがあまりにも蔑ろにされていたからだ。ただただ残念でならない。

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