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妊婦さんと運動 この2つを押さえて健やかなマタニティライフを!!

妊娠中の運動は「適度に」


マタニティスイミングにマタニティヨガ…、と、マタニティと名が付く運動プログラムはすっかり定着し、妊娠中でも「適度に」運動を行ったほうが良いことはずいぶんと知られるようになってきました。その一方で、マタニティと名が付かない運動はやってはいけないのではないかと、体を動かすことに対して心配になる妊婦さんも多いようです。

「適度な」運動は筋力の衰えを防ぎ、体重の増加を抑えます。血流もよくなるのでむくみにくくなり、妊娠高血圧症候群の予防にもなります。

妊娠中に適した運動とはどのようなものなのでしょう。そして「適度」というのはいったいどの程度なのでしょう。

抑えておきたい妊娠中の体の変化2つ

妊娠中に起こる体の変化のうち、運動に大きく関連する2つのポイントを抑えておくと、あなたに合った運動、そして「適度」を見つけやすくなります。そのポイントを1つずつ見ていきましょう。

 ・妊娠中の変化その1 靭帯がゆるむ

靭帯とは、骨と骨をつなぐ繊維で、関節を作っています。通常は骨と骨をしっかりつないでいる靭帯ですが、妊娠した瞬間からホルモンの影響で靭帯はしなやかに緩み、分娩時に骨盤出口が広がるように準備を始めます。

靭帯が緩む影響は骨盤だけに表れるわけではありません。背骨や足の骨など全身にその影響が現れます。全身がぐにゃりとした感じ、そんなイメージをしていただくとよいでしょう。

背骨がとても動きやすくなっているところに、おなかがだんだん大きくなることで体のバランスが日々変わってくるため、体は非常に不安定になります。神経も筋肉も新たなバランスに適応しようと大忙しになるため、妊婦さんの反射神経は鈍くなりがちです。

体重をささえる足も、構成する骨と骨の間がゆるむので、土踏まずが潰れる感じで偏平足気味になりバランスが悪くなります。足首や膝にも負担がかかってくるので、過去に捻挫やアキレス腱炎を経験したことがある人、膝や股関節、腰を痛めたことのある人は再びリスクが高まるでしょう。

このように、体全体が不安定であること、反射神経が鈍くなっていることを考えると

・うまく避けられずぶつかったり転んだりする恐れのあるもの(バスケットボールなど)
・体を瞬間的にひねる動きをするもの(テニスやゴルフなど)
などは妊婦さんに適した運動であるとは言えません。

・妊娠中の変化その2 心臓への負担が増える

妊娠すると赤ちゃんに血液を送るため、血流量が40%から50%もアップします。その増えた血液を体中に送るため心拍数は増え、心臓に負担もかかります。妊娠すると頻繁に動悸や息切れを感じるのはそのためです。安静にしているときでも非妊娠時に比べて心臓に負担がかかっているわけですから、さらに負担をかけるような体の使い方はお勧めできません。

つまり
・非妊娠時でも息が上がるようなもの(短距離走や激しいダンスなど)
もやはり妊婦さんに適した運動ではありません。

妊婦さんにお勧めのプログラム

上で見てきたように、妊娠時は靭帯が緩み、心臓への負担が増えています。その状態でも安心して行え、「適度」の目安となる運動は以下のようなものです。

・転ぶ心配がなく、安定した場所で行える
・しっかりと呼吸ができ、心拍数の増加が通常時+20/秒程度

さらに、靭帯が緩むということは、もともと骨で支えていたものを支えにくくなるということです。例えば、子宮は下から骨盤で支えられていますが、その骨盤を構成する骨のつなぎ目がゆるくなってきます。(恥骨や、尾てい骨の上にある仙骨のあたりが痛む妊婦さんが多いのはそのためです。)骨で支えられなくなると、その分筋肉への負担が増します。そのため、体の安定性を高める筋肉を鍛える運動が妊婦さんには適しています

マタニティと銘打った運動プログラムは上で挙げた妊婦さんの体の変化を充分考慮しているため安心です。そして多くの場合、妊娠してからその運動を初めて行う方にも無理がないようにしているため未経験でも気軽に参加でき、妊娠中期のいわゆる安定期から臨月まで続けることができるのも魅力です。代表的なマタニティプログラムをそれぞれ見ていきましょう。

マタニティスイミング

体が不安定でも、重力から自由になる水の中は安全に筋肉を鍛えやすくなります。マタニティスイミングではただ泳ぐだけではなく、浮き具を装着しての呼吸法の練習やリラクゼーションの時間もあり、出産に向けて無理なく体力づくりをすることができます。

マタニティビクス

少しハードなイメージのあるエアロビクスも、マタニティプログラムは安全で強度の低いものになっています。音楽に合わせて楽しく動きつつも、出産に向けて必要な筋肉を鍛える動きも多く取り入れられています。もともとダンスの経験がある方などに向いているでしょう。

マタニティヨガ

伸ばすイメージが強いヨガですが、靭帯が緩んでいる妊娠期には伸ばしすぎないよう、禁忌のポーズも多くあります。マタニティヨガでは、禁忌のポーズはもちろん避け、縮みやすい部分を伸ばしつつも、緩みやすい部分をしっかり支える筋肉を作っていきます。もともとは精神修行であるヨガは、深い呼吸を続けることで副交感神経が優位になりリラックス効果が大変高いものです。他とは一味違う満足感を得ることができるでしょう。

マタニティピラティス

いわゆるインナーマッスルを鍛えるピラティスは、靭帯が緩む妊娠期に是非試していただきたいエクササイズ法です。マタニティピラティスでは特に、日々バランスが変わってくる体を自分の筋肉で支えられるように鍛えていきます。また、肋骨を横に後ろに大きく広げるピラティスの胸式ラテラル呼吸は、お腹が大きくなり子宮がどんどん上に上がってきて息苦しさを感じた際にとても役に立ちます。

代表的なマタニティプログラムをいくつか見てきましたが、いくら妊婦さん向けのプログラムとはいえ、母体状況によっては運動を見合わせたほうがよい場合もあります。必ず主治医の許可を取ったうえで参加するようにしましょう。また、プログラム提供者が妊婦さんのリスクをしっかり理解していることも大切です。具体的には、プログラム提供者は専門的な教育を受けているか、初めて参加する時に緊急時の連絡先や掛かりつけの産科医を届け出ることになっているか、などが見極めるポイントになるでしょう。助産師さんや看護師さんが同席するプログラムならさらに安心ですね。

わざわざマタニティプログラムに参加せずとも、気軽にできる運動がウォーキングです。土踏まずをしっかりサポートし、底が硬すぎないシューズを選び、平らな所を歩くようにしましょう。心拍数が上がりすぎず、歩いていて気分がよいことが大切です。

体の声に耳を傾け、張りや腹痛など少しでも異変を感じたら休むようにしましょう。万が一のことを考え、ウォーキングをする際は人目の多い場所、そして昼間がお勧めです。

もう少しハードに動きたい人は?

妊娠前から運動をしていた人にとっては、マタニティプログラムやウォーキングでは少々物足りなく感じるかもしれません。上で挙げたように、グループを対象にしたマタニティプログラムは運動習慣がなかった人、未経験の人でも無理なくできるように組まれていることが多いからです。グループプログラムでは心拍数なんて上がらない、汗なんてうっすらすらかかない、という方に試していただきたいのは、妊婦さんの体に理解があるトレーナーと行うパーソナルトレーニングです。

上述したように、妊娠中は靭帯が緩むため体を支える筋肉への依存度が増します。せっかく運動するなら、この支える筋肉量を増やしたいですが、もともとの筋肉量は人によって様々。また、心拍数が少し上がる強度もそれぞれです。パーソナルトレーニングなら、現状の少し上を目指して、1人1人最適なトレーニングをすることができます。マシンなどを使えば鍛えたい場所をピンポイントに鍛えられるので、体力勝負の産後を見越してトレーニングすることができるでしょう。

いわゆる筋トレだけでなく、ヨガやピラティスのトレーナー(インストラクター)でも、パーソナル及びマタニティ指導が可能なトレーナーがいますので是非検索してみてください。

妊娠時の運動は気分転換にもなるため、身体面だけでなく精神面にもよい影響を与えます。あなたに合った「適度な」運動を探してみてくださいね!








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