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プラス10センチのマホウ

『ねぇ、ちょっとそこA組が掃除するとこやろー』
『B組が掃除しろやー』
ある日のお昼過ぎの掃除の時間 、小学校5年A組と、5年B組が、廊下掃除の境界線をどこにするか揉めていたところだった。
お互い、余分に掃除がしたくなくて、押し付け合いというこんな些細なことでのケンカである。
私は当時B組だった。なんだかなぁ、、、 ケンカしなくてもいいのにと思いつつ、気の弱い当時の私は、何も言えず黙っていた。

その喧嘩は来る日も、来る日も続いた。
1週間ごとに掃除の場所が変わるのだが、廊下掃除も終わろうとしている金曜日の昼下がり…
またもや進歩のない同じ争いをしているA組、B組の間に割って入ったのはB組の担任の先生だった。
『お前ら…こう考えたらどうや?例えば…この辺りが境界線やとすると…』
と言って先生は廊下に境界線を引くような感じで指で線を描いた。
そして話を続けた。
『その境界線から、お互い10センチ向こうまで掃除するんや、そうしたら掃除してない部分も無くなるし、お互い争うこともない、お互い思いやりを持って掃除をすればええんや』
その先生のアイデアには、いかに少なく掃除をするために「争う」という考えしかなかった小学生にとって目からウロコだったようで皆が納得して黙って頷いた。

そんな新しい考え方がインプットされた私はことあるごとに10センチの思いやりを当てはめて行動することが癖になっていた。

机を拭くときは自分の分だけでなく、10センチ向こう…と思いながら隣の机も拭いてあげたり、

何の行動をするにしてもそうしていたら、少しずつ何かが変わってきたのを感じた

例えば…高校受験の勉強の時も、初めての受験でどれだけ、どこまで勉強したらよいのかまったくわからない。
そんな時にやっぱり思い出す。
そう、プラス10センチ向こうまで努力するということ。
実際勉強で10センチ余分に勉強するということなんてないと思うので・・・もうここまでやりきった、というところからもう10パーセントくらいの勉強をすること。
私がチャレンジした高校は県内でも上から数えた方が早い、そしてなかなかの倍率の高さであったところだ。正直、合格しようと思うと私の成績ではかなり頑張らないと手が届かないところであった。

だけど、プラス10センチ努力をする気持ちを持って、まっずぐ信じて進んだ結果『合格』を掴むことが出来た。

その後もどんどんプラス10センチのマホウを信じて進んだ。

就職試験の時は10センチ前のめりに、という気持ちで試験と面接に挑み、結果、大学生が選ぶ就職人気ランキングTOP3内の会社に入社をすることが出来た。

その途中で受けたたくさんの資格試験もそんな調子で全力で挑んでほぼ落ちることはなく…

そして2020年なんと、コロナ禍であったが何かにチャレンジしたいと思い、生まれて初めてチャレンジしたミセスコンテストで、地方大会を通過し、日本全国最終16名のグランドファイナリストまで進んだ。
人並?の容姿、そして恐ろしくあがり症、話し下手の私がプラス10センチのマホウを信じて実行した中で人生一番の快挙であった。

がしかし、奇跡はそれだけでなく
なんと!日本大会から更に受賞して「世界大会」まで行くことになったのだ。

プラス10センチのマホウを信じて進めば…
必ず上昇スパイラルに乗れるんだと私の人生では確信した!!

がしかし、人生すべてがうまくいくわけではない。
コロナ禍で延期になっていた世界大会は二度、三度、延期や開催地の変更もあり、いったいいつになるやら、本当に開催されるのか?と思い始めた時に、やっと決まった世界大会の日程、、、日本大会から2年以上経過した2023年にフィリピンのマニラで開催された。私は世界グランプリとまではいかなくとも、ここでもプラス10センチのマホウという努力をすれば、何か想い通りのものを受賞すると思っていた。

だがしかし…この時の私は仕事にプライベートにとっても忙しかった。
世界大会にも心がついていかず、心が入っていけず、マホウをかけるどころか最低限の準備で、そして「このくらいでいっか」という気持ちで世界大会に挑んだのだ。

そう、そんな感じでマホウがかかるわけない。
世界大会ではなんだかよくわからない小さな賞を受賞しただけで帰ってきたのだ。何も受賞しなかったよりはマシだったのかもしれないが、今まで「大事な時」に「マホウ」をかけなかったことがない私にとって久しぶりの「挫折感」であった。こんな悔しいことがまだ私の人生にあったなんて・・・・

そう、自分のせいだ。

だが、「このくらいでいっか」という思いで挑んだ結果得られた、このとてつもない悔しさは、すぐに私の人生の「学び」というプラスのエネルギーに変換された。
大事な事に挑むときに「マホウ」という努力は絶対必要なんだと改めて思った事実であり「まぁいっか」などという甘い考えの自分を戒めてくれた。
私の人生よ「ダイジナコトヲオシエテクレテアリガトウ」

そんな感じで世界大会後の私は、この先2年の目標と、そこに向かってのマイルストーンを置き、やるなら全力での気持ちでまた自分にマホウをかけて頑張っている。

人生がうまくいく「プラス10センチのマホウ」本当は誰にも教えたくなかったけれど、なぜか急に文章にしたためたくなった。

でもね、この2年に目標はまだ皆には内緒!
だけど、絶対叶えてみせる。
だって私は自分で自分の人生を変えれる「マホウツカイ」なのだから。

これは特別な事ではないの。
誰もが「マホウ」は使えるんだよ。
せっかく誰しも使えるのに「ワタシニハムリ」っていう呪文でマホウを解いてしまっているだけ。解かないで、解かないで(笑)

そう、プラス10センチのマホウは人へも、自分へも「オモイヤリ」の積み重ね。そんな「オモイヤリ」の心を持って「感謝」の気持ちをきちんと感じて信じる道に向かって努力していけば、自分の人生は「マホウ」がかかったようにうまくいく。

「プラス10センチのマホウ」
あの時、小学5年生の担任のハタケヤマ先生に感謝をしつつ…
文章を締めくくろうと思います。

読んでくれてありがとうございました。

ちなみに三重県に住んでいたから最初の方は三重弁です(笑)

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