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こんな幸せのカタチ~ある夏の日~

このお話は実話です。すっかり忘れていたのですが、このお正月、少し家にいられる時間があり…携帯のネタ帳(メモ帳)をフト見るとぎっしり何か書いてある・・・あそうだ、この時いろいろ心に響くものがあったんだよなぁと思って一生懸命メモしたことを思い出しました。

時は2021年のとある夏の日…私はその年の春に会社を辞めてから、今まで井の中の蛙のようだった会社員生活を飛び出し、人生の勉強という名の自由人を満喫しておりました。

その日はとても暑い日で、名古屋の大須商店街に何かの用事で出向き、帰りに少し涼んでから帰ろうかと、老舗の甘味所で「宇治金時」をいただきながら休憩をしていました。

コロナの影響もあり、お店には私と先客が一人だけ。その先客も早々に席を立ちお客が私一人になった時でした。そこに50代後半くらいでしょうか…仕事終わりだと思える作業着を着た強面の男性と、同年代くらいのニコニコのぽっちゃりとした女性が入ってきました。

夫婦という感じでもなく、不倫でもなさそう、カップルというにはなんだか不釣り合いな不思議なお二人…偶然にも私の横のテーブル席に座りました。私の宇治金時はまだ食べ始めて間もなく三分の二は残っている状態でしたので食べ進めていました。

女性は「宇治白玉金時」男性は何だったかな…あんみつとかを頼んでいたような気がします。

座ったとたん、女性が実家に手土産で持って行ったお菓子の話を始めました。〇〇というお菓子屋さんのお饅頭がなんちゃらかんちゃら~雰囲気的に男性にはあまり関係のない話のようで、相槌の一つもなく、かといって女性が勝手に話していても、うるさそうにしているわけでなく、真横にいた私は自然に入ってくるこの二人の嚙み合わない会話が不思議でなりませんでした。そんなにジロジロ見るわけにもいかず黙々と宇治金時を食べ進めました。

その二人のところにも注文した商品がテーブルに置かれ、女性はその「宇治白玉金時」を食べて美味しい~と喜んでいました。そのあとすぐに向かいの男性に「白玉もちもちだよーー!一口上げる!!」とスプーンで差出し、男性は無言で食べました。そこで写真を撮り忘れたことに気付いたらしく女性がスマホでかき氷を撮影してそこでまた「私、せんちゃんとかき氷が食べれて嬉しい!!」と喜びを口にしていました。もちろん向かいの男性は無言です。(あ、この男性せんちゃんって言うんだ…)

えっまた無言?と心の中で思い、他人事なのになんだかこの男性(せんちゃん)にイラっとしたのを覚えています。

だけど、女性は何も気にしていない様子で、次はなぜか部屋の中にある布団の話をしていました。エアウィーヴやらトゥルースリーパーやらそんな話。よくわからなかったけれどそんな話をしていて「せんちゃんのセンベイ布団の上に敷けば?」なんて話しかけていました。男性はなんとなく彼女のほうを見るもやはり無言でした。だけど何だろう…彼をチラッと見ると彼女を見る目がとても優しくて、それが彼女にも伝わっているんですよね。

山盛りのかき氷を一人で食べていた私はだんだん冷えてきて食べるスピードがスローペースになり、そうこうしているうちに横の二人は先に食べ終えたようで

「帰ろっか」と。

女性が自分自身のカバンから財布を取り出し、伝票を持ちレジに行きました。レジ横にあるお饅頭などを家族にお土産で持って帰りたかったようで、伝票とお菓子をレジ前に置きました。

あぁ…紐なのね。こうやって話に付き合っているけど、女性にお金を出させるんだ…なんとなく勝手に軽くショックを受けていた矢先…

男性が、サッとお金を払い二人は帰って行きました。

なんだろうか…彼女とても幸せそうな顔をしていたなぁ「幸せのカタチ」って人それぞれほんとに違うものだなぁと思った2021年夏の日でした。

そんなことを考えていたら、テーブルの上に軽く置いた掌にポトンと一粒涙が落ちて、なんでだろう…

そっか、私が小さい頃に感じていた感情を思い出したからだ。

いつも母が何か話しかけても、父は無言だったりして、そんな父と母の関係を見ていて、幼い私は母がいつも可哀そうでならなかった。少し時が経ち私が成人するかしないかくらいの時、いつも父のぶっきらぼうな態度に我慢している母に「お父さんと結婚なんかして失敗だね」って私が言ったら、共感してくるかと思いきや「失敗なんかじゃない!!」となぜか私が怒られました。

その時の母の気持ちは私には理解はできないけれど、母は母でこれで幸せなんだなぁ~と思ったことを思い出したのです。

あの時、ひどいこと言っちゃったかなぁ…と後悔してももう母はいないので伝えることはできません。そんなことを思い出し、後悔の涙でした。

「幸せのカタチ」色々だなぁ。私は今自分で自分の人生を選択しながら道を歩み、とても「幸せ」なのだけれど、よくね、人生がとても辛いとか、方向性がわからない、幸せってよくわからないっていうお悩みを受けます。

「幸せのカタチ」って人に決めてもらうものではないのよ。

「自分で決めるの」

だから自分自身が何をしたら幸せなのかを知りたければまず、自分を大切に、自分を認めてあげるところから始めてね。

そうしたら「自分の幸せのカタチ」きっと見つかると思います。

これを読んでくれた皆様が「幸せ」でありますように、願いを込めて…



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