集団免疫についての果てしない誤解
次の記事のように、COVID-19には集団免疫の概念は当てはまらないと誤解している人々がいる:https://amsterdamnews.com/news/2024/10/24/factcheck-herd-immunity-is-not-solution-to-covid-19-pandemic/。
この見当違いの記事で言及された専門家達は、集団レベルの免疫の背後にあるメカニズムを考えることなく、WHOの定義を絶対的なものとしているため、免疫学の基本を理解出来ずにいるのだ。真の集団免疫とは、ある集団全体に渡ってウイルスの伝播が無視出来るレベルにまで低下して、増殖性ウイルス感染が効果的に停止されるような水準に、殺菌免疫(sterilizing immunity)を達成することだということを、彼らはわかっていない。残念なことに、多くの医師や疫学者は、自然免疫と感染によって誘導される中和抗体の自然な組合わせが、ウイルスに過剰な免疫圧力を与えることなく感染を完全に排除するために自然が用意した魔法の鍵であることを認識していない。
これらの専門家は、他の急性自己限定性ウイルス疾患では集団免疫が成功していることを認める一方で、なぜかSARS-CoV-2は違う、と言う! 高度にCOVID-19ワクチンを接種した集団で、集団免疫の獲得の障壁となっているのは、このパンデミックの最中にウイルスを完全に排除できないワクチンを用いて集団ワクチン接種をおこなったことにある、ということをいまだに理解していないようだ。
集団免疫は、非殺菌性の免疫反応のことではない。それ*は一時的に(重い)疾患を防ぐかもしれない。しかし、ウイルス感染を防ぐことはなく、したがって、今もウイルスの伝播を許している。しかし、この所謂「ファクトチェック」記事のタイトル(「集団免疫はCOVID-19感染を解決出来ない」)は既に受けたワクチンや、それまでの感染による「集団免疫」だけが疾患防御をもたらすと主張している。同時に、まさに同じ記事が、いくぶん矛盾するのだが、高度にCOVID-19ワクチンを接種された集団の免疫は、ウイルスの拡散を止めることはできないため、集団免疫の真の基準には当てはまらず、集団免疫を達成するという野心的な望みは現実的ではない、と指摘している。
集団免疫に関する誤解や混乱を助長しているのは、一般の人々ではなく、メディアや公衆衛生当局自身であると結論せざるをえない。私達に必要なのは、集団免疫の新しい定義ではない。必要なのは集団免疫の新しい定義ではなく、多くの医療従事者、疫学者、公衆衛生当局に蔓延する免疫学的無知を表現する新しい用語なのである。
しかし、一般の人々への説明は、単純明快であるべきだろう。通常、急性自己限定性感染を引き起こすウイルスによって、ある集団が大規模に自然感染すると、集団免疫が獲得される。しかし、対照的に、パンデミックの最中に、ウイルスを殺すことができないワクチンで大規模にワクチン接種を行なうと、ウイルスの集団への拡大を防ぐことはできず、ウイルスに免疫圧力をかけることが避けられない。結果として、ワクチンや、ワクチン・ブレークスルー感染によって引き起こされる免疫反応から逃避する、新たな変異株の自然選択が促進されるのだ。
[*訳注 非殺菌性の免疫反応]
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