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関係者各位

Dr. Geert Vanden Bosscheの2024年8月27日投稿(Substack)
To Whom It May Concern,
の翻訳です。原文は有料記事ですが、著者の御厚意で投稿から2週間経てば翻訳をここに掲載して良いとの許可をいただいています。substackを講読して原文も参照していただければ幸いです。
2024/9/17追加: 著者HPの原文リンク

画像つけものさんにより

生物学に馴染みのある者であれば、生物系や生物現象はしばしば非常に複雑であることをご存知だろう。生物学をより詳しく学ぶほど、その本質的な複雑さをより強く感じるようになる。分子生物学者なら間違いなく、これに同意するだろう。生物系がより脆弱であるほど、とりわけ、他の生物系との相互作用がその生物系の生存維持に必須の動態を形成している場合、その洗練の度合はさらに増す。これが生態系全体の生物学的複雑さの度合が、人間には完全に理解し難いレベルにまで達する理由である。

しかし、この複雑さの生物学的意義は何であろうか。生物現象の複雑さは、しばしばクモの巣に似ている。交通量の多い交差点のように、多くの道が交差し、方向を変える。ある方向から別の方向へと、ときには反対方向へと歩みを変えることで、生物学的過程や反応を絶えず調整し、修正し、精緻化することが可能になる。これがもたらすものは、生命維持に不可欠な生物現象における高度の洗練性、そして、それゆえの脆弱性だけではない。高度な汎用性と多様性も、もたらされるのである。複雑で、それゆえ、より脆弱な生物系が、厳しい環境に直面しても繁栄し続けるには、まさにこの多様性が決定的に重要である。生物学的複雑性と脆弱性をより低く抑えて自分自身を維持するように進化した生物学的要因が脅威となっている場合には、とくにこれが当てはまる。生物学的過程自身の複雑さから生まれる幅広いバリエーションと、他の生物系との多種多様な相互作用こそが、このような脆弱な生物系が、脅威となる環境要因にあえて適応する様々な可能性を創出するのだ。この適応は、ランダムな「変異体」から、敵対的な環境において競争上の適応優位性をもたらす複雑な表現型が自然選択されることによって生じる。

自律して生きている生物の反応性が単純な白か黒かの反応だけで成り立っているのであれば、好ましくない環境要因に直面した場合に起こることは、大規模な種の絶滅か、大規模な種の繁栄のどちらかであり、後者もいずれ、種の生存を脅かす別の要因(例えば、食物資源の枯渇や、人口の過剰による他の有害な要因)につながる。しかし、生態系全体——ある病原体と相互作用するある動物集団のような——の適応性が、不自然な、不適応な大規模介入などによって徐々に弱められた場合には、病原体を、集団として効果的に制御する能力は次第に低下するリスクに曝される。「敵対的な」環境上の脅威が、生きた生物要因、それも、再生戦略が原始的なために脆弱性がはるかに低い生物要因である場合に、このことが特によく当てはまることを理解することは難しいことではない。ウイルスのような生物要因は、生存し再生するために必要なのが、宿主細胞という安全な環境だけであるため、脆弱性の度合がはるかに低いのである。この場合、役割は逆転し、より進化した、より脆弱な生物種は次第に適応能力を失い、より原始的な敵対者が戦略的優位性を得ていく。

現在進行している免疫逃避パンデミックの終着点に関する私の洞察と予測をフォローしてきた人々にとっては、このことは、パンデミックの最中に行われたSARS-CoV-2に対する集団ワクチン接種が、実際には、ワクチンを接種された集団よりも、むしろ、ウイルスの適応に利益をもたらした理由を正確に説明しているだろう。COVID-19ワクチンを接種された人々に整然と起こったブレークスルー感染の結果、COVID-19ワクチンを高度に接種された集団の免疫系の適応力(すなわち、獲得免疫)は集団的に減弱し、結果的に、より脆弱なウイルスの生存機会を高めた。COVID-19ワクチンを高度に接種された集団の適応能力は、ついに、多反応性非中和抗体による病原性防御に限定されてしまった。この防御はこれ以上進化せず、ウイルスの拡大を抑えることもできない(したがって、ウイルスの適応を防ぐこともできない)ことが分かっている。非薬物的感染防除策と集団ワクチン接種によって勢いを得たウィルスの進化動態によって、この抗体の濃度を維持していた抗原刺激は失われたため、この、人類によって引き起こされたウイルス動態がいずれ、COVID-19ワクチンを高度に接種された集団の絶滅を防ぐための緊急ブレーキを発動させることは十分にあり得ることなのだ。実際、集団的免疫適応力が制限され、集団免疫の発生が妨げられているのであれば、より高度なウイルスの適応力だけが解決策をもたらしうるだろう。ウイルスが適応力を増している証拠は、かなり前から、特にオミクロン株の出現以降、明確になっている。この免疫逃避パンデミックの現段階では、COVID-19ワクチンを高度に接種された集団の、ウイルスの拡大と複製と制御する能力がさらに減弱しているため、ウイルスの適応力はさらに刺激されるばかりである。

COVID-19ワクチンを高度に接種された集団による、大きな、しかし、「誤った」免疫圧力の下では、ウイルスの適応力は無制限にエスカレートするばかりであることは疑いない。このエスカレートは、集団の非接種部分にとっては、その自然免疫細胞のエピジェネティック・リプログラミング(すなわち「訓練」)によって、ウイルスの免疫逃避の連鎖を突破し、最終的に、集団免疫を確立するチャンスをもたらすものと考えられる。

脆弱な生物実体の強靭な適応力が混乱した場合、敵対的な圧力によって、その安定性が集団的に弱まり、生物系として崩壊するまでには、ある程度時間がかかるということも理に叶っている。それでも、ダム壁の小さなひび割れが次第に拡大して大きな亀裂となるように、系の安定性は急速に悪化し、その結果、一見安定しているように見える系が、青天の霹靂のように突然崩壊する可能性があることは明らかである。したがって、そのような生物実体は、虚を突かれるのである。

私のCOVID-19免疫逃避パンデミックの終末時期の予測を批判する人々同様、私も、関与する複雑な生物系の驚くべきレジリエンスに目を見張っている。我々哺乳類の免疫系が、生物学的にはるかに複雑度の低い病原体に集団的に適応する能力は、実に驚異的なものであり、前例のない規模のレジリエンスを示している。このような目覚ましいレジリエンスを破壊することができるのは、大規模な、自然に反する、無思慮な免疫介入だけである。しかし、自然が私達の種の保存を確保するための緊急対応計画を用意していない、というわけではない…

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