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ギニア ー エボラ出血熱ワクチン臨床試験と報告された中間結果

2015 年にBossche博士は WHO がギニアで実施したエボラワクチンの臨床試験の安全性を精査し、疑問を抱きました。その臨床試験はリングワクチン接種法(Ring vaccination)という方法で行われたものでした。以下の翻訳論文は2015年にWHOがLancet誌に発表したデータに対するBossche博士の批判的な科学的分析とレポートです。このレポートは、エボラワクチン接種プログラムに関わるすべての国際保健・規制当局に送られました。

https://www.voiceforscienceandsolidarity.org/scientific-blog/guinea-the-ebola-vaccine-trial-and-the-reported-interim-results

以下はDr. Geert Vanden Bossche 2023年2月13日投稿
Guinea – The Ebola vaccine trial and the reported interim results
の翻訳です。また、本稿はBossche博士の旧HP上でも公開されていました。原文を参照の上ご利用ください。

2015年8月2日

概要

困難な状況に対応し、エボラワクチンの研究を迅速に進めるため、rVSV-ZEBOVエボラ出血熱ワクチンの研究者たちは、ほとんどのワクチンの試験で標準的に用いられているプラセボ対照試験デザイン[1]を使用しなかった。 その代わりに「リングワクチン接種法」と呼ばれる革新的な方法を用いた。これは、実験室でエボラウィルス疾患が確認された患者(いわゆる「インデックス・ケース/発端者」)の周辺をリングの様に囲む曝露(ばくろ)された人々、つまり接触者に働きかけるという方法である。このような曝露者、つまり接触者に研究参加が呼びかけられた。研究者たちは、7,651人の接触者を集め、i)rVSV-ZEBOVを即時接種する群、またはii)同じワクチンを21日遅れて受ける群に無作為に割り振った。 この論文では、この2つのリングをそれぞれ「即時」または「遅延」接種リングと呼ぶ。

研究者らは、全ての試験参加者を数週間[84日間]追跡して、ワクチンの安全性の監視と、ワクチン接種を受けた被験者がエボラ疾患から保護されているかどうかを評価した(一次エンドポイントは、「無作為化後10日以降に発症した、検査で確認されたエボラウイルス疾患」であった)。自然経過ではエボラ疾患の潜伏期間は少なくとも10日間[2]であるという根拠に基づき、研究者らは、ワクチン接種後10日未満に発症した症例は、ワクチン接種時にすでに感染していたと見なした。そして、この試験の目的は曝露後にワクチンを接種した人に対するワクチン効果を検証することではないという理由で、それらの症例をカウントしなかった。つまり、一次解析ではこれらの症例は検討されなかった。しかし、遅延接種リングで発症した接種後の4症例は、無作為化以降に発生したことと接種前に感染したと考えられることから一次解析に含まれた。

即時接種リングでは接種後10日以降に発症したエボラ患者はなかった(しかし、10日以内に9例が発症した)。遅延接種リングでは第10日以降に16例が発症した(第10日未満の発症は16例であった)。第10日以降のエボラウイルス感染症患者数が即時接種リングでは非常に少なく(すなわちゼロ)であったことから、研究者たちはワクチンの有効性は100%であると結論づけた。

結果の解釈についての懸念

いくつかの理由によって、安全性と100%の有効性という解釈には疑問があり、この解釈は完全に間違っている可能性があるとさえ結論づけられる。ワクチン接種者のすべてのエボラ症例がワクチン接種後1週間以内に発生したという事実と、このワクチンの有効率 が100%と報告されたことが相まって、この研究の結論に懐疑的な見方をしてしまうのだ。
ワクチンの有効性と安全性に関する懸念は、以下に詳述する。

ワクチンの有効性

研究者らは、即時接種リングと遅延接種リングの接触者が、人口統計、曝露リスクに関する情報、追跡調査の遵守、居住地域におけるワクチン以外の疾病対策の実施という点で大まかに同等となるように対策を講じたようである。しかし、本研究ではプラセボ対照群がないため、接触者の選定や評価・監視方法に偏りがあり、結果に影響を及ぼした可能性がある。実際、このようなバイアスが結果に大きく影響する可能性があることが歴史的に明らかになったために、選択すべきデザインとしてプラセボ対照試験が登場したのである。

ワクチンそのものがエボラの潜伏期間を通常より短くし、エボラの症状を通常より早く出現させた可能性を示唆する科学的根拠がある(後述の「ワクチンの安全性」を参照)。しかし、一次解析の対象となったすべてのエボラ症例が少なくとも10日間の潜伏期間の後に発生したとしても、即時接種リングと遅延接種リングの自然感染率は大きく異なるように見える。このこととから、2つのリング間のデータを比較することが正当であるのかという疑問が生じる[3]。

さらに、エボラ出血熱に感染してしまったワクチン接種者の数は、(「即時」リングか「遅延」リングかにかかわらず)同じ試験プロファイルに該当するワクチン非接種者(すなわち、研究参加の同意を得たがワクチンを接種しなかったすべての対象者)のエボラ出血熱感染者の数と同一であるようだ[4]。

仮に100%の有効性を主張するとしても、ワクチン接種後わずか数日で 防御免疫が誘導されたことになり[5]、これは機能的な抗体が生成されるにはあまりに早い。 感染症予防に特化した防御免疫応答の生成には時間がかかるのだ[6]。また、今回の研究で示唆されたような迅速な防御的免疫反応の発現は、VSV-ZEBOVを曝露前に接種した場合にのみ証明されており、エボラウイルスの潜伏期に接種(即ち、曝露後に接種)した場合の効果については何も分かっていない[7]。

いずれにせよ、万が一、有効性が証明されたとしても、この結果は、非特異的な反応、つまり、人々の免疫系にある種の強壮作用が非常に速く起こり、差し迫ったエボラ感染を防ぐのにたまたま有効だったということだ(ワクチンの専門家は、これを「アジュバント」効果と呼ぶかもしれない)。もしそうだとすると、この種のワクチンは、接触者のエボラ発症の抑制には使えるが、この研究は、将来の感染に対する持続性の免疫の証拠を何ら提供しておらず、現在想定されているように、医療従事者や最前線で働く人々の感染制御に使えないということだ。

さらに、リング接種試験で報告された高いワクチン効果というエビデンスは、対象成人全員を含めた即時リングと遅延リングの症例の比較に基づき結論付けられたものである。このような比較は、一次解析の結果(有効性)によってバイアスがかかっており[8]、何らかの集団免疫による感染防御を示唆するものではない。

ワクチンの安全性

即時リングに含まれる9例のエボラ症例は、すべてワクチン接種後10日未満に発症した(実際には、すべてわずか6日以内に発症している)。エボラウイルス病の潜伏期間は通常10日以上であることから、研究者らは、これら9例はワクチン接種前に感染していたと判断し、一次解析から除外した。

この判断は重大なバイアスをもたらしたと思われる。
i)これら9例のすべてが、発端例の発症以前から感染していたとは考えにくい[9]。
しかも、より重要なことであるが、
ii)ワクチン接種者で診断されたエボラ症例のすべてが、即時リングか遅延リングかに関わらずワクチン接種後まもなく(すなわち最大6日以内に)発症している。
この観察結果は、生ワクチンの接種に本質的に伴う炎症反応が、エボラウイルスによって引き起こされる生命に関わる免疫炎症事象を増強する可能性が高いという科学的妥当性を強く支持する[10] 。言い換えれば、ワクチン接種後10日以内にエボラに感染した人は、ウイルスに対する免疫反応の初期段階の炎症にワクチンが干渉し、より早く、より重篤な症状を呈した可能性がある。もしこれが正しければ、このようなケースでは死亡者の割合がより高くなると予想される。この可能性を評価するために、WHOはワクチン接種リングと非接種リングで発生したエボラ出血熱症例の致死率のデータを問われているが、この情報はまだ得られていない。この研究では、エボラ出血熱に起因する15人の死亡が報告されており、これらの死亡の相当数がワクチン接種症例で発生した可能性があると考える科学的根拠がある[11]。

一般に、本ワクチンや その他のワクチンについて報告される安全性は、通常、曝露歴のない人がワクチン接種を受けた場合について評価される。しかし、上述のように、生ワクチンが、特にエボラ疾患において、接種の直前に曝露された人の発症を加速する可能性は検討されていない。アウトブレイクへの対応として、また感染抑制のためにリングワクチン接種法が検討されているのであるから、なおさらこの可能性を見落とさないようにクロスチェックすることの重大性は明らかである。最悪のシナリオを想定すると(最悪のシナリオを検討しそれを訴えることは、科学者の責任あるアプローチである)、例えばrVSV-ZEBOVのような生ウイルスワクチンによるリングワクチン接種は、すでに病気を潜伏させている状態でワクチンを接種した人が致死の結果を迎える確率を劇的に高める可能性がある。

今後の方針の提案


安全性が第一!

第一段階として、WHOは、試験で得られたエボラ出血熱の症例について、ワクチン接種者と非接種者の症例致死率(CFR)を開示させるべきである。これは、リング接種法でワクチンを使用した場合に安全性の問題が生じるかどうかを調査するための第一歩として不可欠である。理想的にはCFRは、より広い科学界、特にエボラ出血熱との闘いに携わる政策決定者と共有されべきである。
その間、エボラ出血熱対策に関わるすべてのグローバルヘルス機関は、以下に列挙する試験に関するいくつかの重要な未解決の疑問に対処すべきである(回答を求めるべき最も緊急性の高いものはアスタリスクで示した)。

方法について

- なぜ接種者の発症例の比較が試験対象かつ同意した者の間ではなく、試験対象に該当しただけの者の間で行われたのか。
- 曝露したが無症状の者の体液を採取し、エボラウィルス(EBOV)の検出を確認したか。
- 抗体価は測定されたか。何らかの抗体が検出できたのか。
- 接種者および非接種者の血清中の炎症性サイトカインを測定したのか。

安全性について

*- 接種者のエボラ症例の前例が接種後わずか数日のうちに発生したことはどのように説明できるのか?
*- ワクチンが、ワクチン接種前にEBOVに感染していた人々のエボラ出血熱の発症を加速させたという可能性はないのか?ワクチンが病気の進展に有害な影響を及ぼした可能性はないのか?
*- ワクチンを接種して発症した人々は、ワクチンを接種せずにエボラに感染した人々よりも高率に死亡してはいないか?
*- このワクチンを曝露後に接種した場合の影響を、関連する動物モデルで検証したことはあるか?

有効性について

*- 防御は抗体によるものなのか、もしそうでないなら、推定される防御のメカニズムは何か?
*- 防御の長期持続性をモニターするために、報告された有効性/防御の基礎となる免疫反応はどのように測定されるのか?
 - ワクチンを接種して発症した人々は、ワクチンを接種せずにエボラに感染した人々よりも高率に死亡してはいないか?生の VSV ベクター(すなわち、エボラタンパク質を挿入していない)がそれ自体で防御を提供でき るかどうかを検証するために、動物実験が行われたことはあるか?
*- 報告されたタイプの防御/有効性が、一次評価項目で考慮された短い観察期間を超えた期間に渡って有効である可能性の証拠は、ヒトまたは非ヒト霊長類モデルにおいて存在するか?

将来計画について

*- エボラウイルス潜伏期間中にワクチンを投与した場合の効果が不明であること、ワクチン接種後症例での発症が早いことを考えると、医療従事者や最前線で働く人々を臨床試験に登録し、ワクチン接種を続ける計画は、特にまだ流行が続いている最中においては、時期尚早で危険なものではないだろうか?安全性と有効性の疑問に対する答えが存在しない、あるいは得られない場合には、非ヒト霊長類を用いた追加的な実験データ[12]が得られるまで、rVSV-ZEBOVワクチンの接種をさらに検討することは保留にすべきではないだろうか?エボラに曝露した直後の者にワクチン接種を行っても発症を加速させないことを確実にするようなデザインの研究を計画することは可能だろうか?
*- 免疫の持続時間がわからない以上、予防のためにワクチンを使用する正当な根拠はない。したがって、将来のアウトブレイクに備えて曝露のリスクがあると考えられる健康な人(例えば、医療従事者や最前線で働く人々)にワクチンを接種する正当な根拠はない。一方で、エボラウィルスに曝露後の非ヒト霊長類に適切にrVSV-ZEBOVワクチンを接種した場合には、エボラ出血熱から守ることができるようである。しかし、観察された防御は自然免疫、つまり短期間しか持続しない免疫[13]によるものと考えられる。したがって、次のステップは、このモデルで追加的な研究を行い、観察された防御効果の免疫学的な基礎とその持続時間をさらに検討することである。
*- エボラ出血熱の流行が弱まりつつあることを考えると、初心に戻り、意義のある動物モデル(非ヒト霊長類などの自然宿主・病原体モデルで自然な感染経路を用いた投与試験)でより多くのデータを蓄積し、安全性と有効性が前臨床試験で証明されたエボラワクチン候補のみを合理的に設計された最先端の臨床試験に導入するほうが賢明ではないだろうか?

結論

上記の安全性と有効性の疑問に対する回答が存在しないか、または得られない場合、特にrVSV-ZEBOVや生ウイルス一般によるリングワクチン接種が、以前に病原体に曝露した接触者でのエボラ疾患を増悪させる可能性があるかどうかを検討するためには、一次解析に含まれる接種者と非接種者の死亡率の比較だけが唯一残された手段である。

[1]

「プラセボ」対照試験とは、試験参加者が試験用ワクチンか「プラセボ」と呼ばれるものを接種する方法である。プラセボは全く別の病気のワクチンであったり、抗原を含まなかったりし、何の効果もないはずのものである。試験用ワクチンとプラセボワクチンはコード化されており、接種者にも投与者にもどちらかわからないようになっている。これらの試験の結果は、どの人がどのワクチンを接種したかを知らない人たちによって評価(疾病モニタリング)される。結果が得られて初めて、コードが明らかにされ、2つのグループ間の差異(もしあれば)が明らかになる。このデザインは結果に影響する認識の偏りやバイアスの可能性を回避できることがよく知られている。

[2]

「潜伏期」とは、感染から臨床症状が現れるまでの期間をいう。

[3]

rVSV-ZEBOVワクチンは、非ヒト霊長類において完全な保護免疫を提供するまでに丸1週間かかることが示されている(A. Marzi et al.; published online 6 August 2015)。同等の曝露前ワクチン接種シナリオに従って、全く同じrVSV-ZEBOVワクチンを投与した場合、同様のタイムラグがヒトでも観察されると仮定することは不合理ではない。したがって、即時接種リングで第10日と第17日の間に症例が観察されなかったことは、ワクチン接種後の最初の1週間にワクチン接種者の誰も感染しなかったと結論付けることになるが、一次解析に含まれる[遅延リングの]7人の非接種者は同じ期間(すなわち、第10日と第17日の間:図3A参照)にエボラと診断された。このような感染率の相違は、一次解析で検討した即時型リングと遅延型リングの症例比較の妥当性をさらに疑わせるものである(一次エンドポイント:無作為化後少なくとも第10日以後に発症した疾患症状)。

[4]

9 + 4 = 6 + (11-4) = 13; この結果を発表した論文の表2、最初の2列を参照のこと。

[5]

このことは、i) エボラ出血熱の潜伏期間は少なくとも10日と仮定されていること、ii) 一次解析に含まれる無作為化後第10日から第21日の間に発生した症例はすべて非接種者であり、同期間において接種者では1例も観察されていないという事実に基づいて合理的に結論づけることができる。言い換えれば、ワクチン接種者がd10とd21の間にエボラ出血熱を発症しないためには、ワクチン接種後12日以内(d21-10=11)にワクチンが防御効果を発揮している必要があるということだ。

[6]

Vaccine immunology. , Pages 14-32, Claire-Anne Siegrist in: Vaccines, by Stanley Plotkin, Walter Orenstein, Paul Offit, 2013

[7]

Marzi et al.; VSV-EBOV rapidly protects macaques against infection with the 2014/15 Ebola virus outbreak strain; Science 349, 739 (2015): 739-742

[8]

報告されたワクチン有効率は、一次解析に含まれる即時接種リングおよび遅延接種リングの症例数に強く影響される。

[9]

一次解析で検討された即時接種リングのワクチン接種後症例はすべて接種後5日以内に発症していた(図3参照)。これらの症例が少なくとも10日の潜伏期間を「遵守」していたとるすならば、無作為化の少なくとも5日前、すなわち発端例の症状発現前に曝露されていなければならない。

[10]

ギニアでの試験で選択されたリングワクチン接種法では、対象となった接触者のうち何人かは、すでにエボラウイルスに曝露した後にワクチン接種を受けた可能性が高い(無作為化と、したがって接触者へのワクチン接種は、発端症例の症状発現後数日後であった。表1参照) したがって、ワクチン接種前に曝露された対象者では、ワクチンによる炎症性サイトカインカスケードが、潜伏期間中にエボラウイルス(EBOV)によって引き起こされるサイトカインストームを増強する潜在的リスクがあると思われる。(A. Marziらは最近、EBOVとrVSV-ZEBOVの両方が炎症性サイトカインを誘導しうることを報告した。published online 6 August 2015)。

[11]

p.7に記載されているように、遅延接種リングの症例致死率(CFR)は、即時接種リングの全対象者の52%に対し、39%であった。遅延リングでは46例中4例がワクチン接種を受けていた(接種後1週間以内に発症)のに対し、即時リングでは29例中20例がワクチン接種を受けていなかった(表2参照)。したがって、一次解析で考慮したワクチン接種例と非接種例のCFRの差は統計的に有意であり、13%よりはるかに高い(すなわち、52%-39%)ことを否定できない。

[12]

非ヒト霊長類を関連性の高い動物モデルとして用い、簡単な実験を行うことができる。すなわち、マカクをエボラに感染させ、その後半数にワクチンを接種し、病気の進行に及ぼすワクチンの影響を評価するのである。ワクチンが安全であることが示された場合(すなわち、疾患の発症を促進しない場合)、この実験は同時に、曝露後のワクチン接種におけるワクチンの有効性を評価することができる。ワクチン接種後すぐに致死量のエボラウイルスをサルに投与するという設定は、すでに実験されている。どちらのシナリオも、リングワクチン接種の対象となる接触者へのワクチン接種を模倣するものと思われる。曝露前のワクチン接種の場合、完全な防御はVSV-ZEBOVワクチン接種後少なくとも1週間経過してから感染性曝露が発生した場合にのみ可能であるだろう。

[13]

Marzi et al.; VSV-EBOV rapidly protects macaques against infection with the 2014/15 Ebola virus outbreak strain; Science 349, 739 (2015): 739-742



自然界ではコウモリなどの野生動物がエボラウイルスを保有していると考えられますが、人の間では家族内、医療機関内で感染を繰り返すことにより、大きな流行が生じることがあります。エボラウイルスに感染した動物(コウモリ、霊長類など)や感染した人の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物など)に、皮膚の細かな傷や、眼や口の粘膜等が接触するとウイルスが体内に侵入し、感染します。また、症状が出ている患者の体液等やそれに汚染された物品(シーツ、衣類、医療器具、患者が使用した生活用品など)に傷口や粘膜が触れても感染することがあります。通常は空気感染も起こりません。

症状のない人が他の人に感染させることは性行為など特別な場合を除き、ほとんどありません。

「エボラウィルス病(エボラ出血熱)」厚生労働省検疫所FORTH
太字は筆者


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