時至れば、全ての波は1つの巨大な大津波となる。
昨今では変異探索家は、ますます稀少な存在となってきたようだ。しかし、SARS-CoV-2のゲノムサーベイランスが中止されていない国では、研究者は今も新たなSARS-CoV-2系統を検出しており、そのゲノム配列は、現在主流となっているオミクロン系統、特にBA.2.86とJN.1とは明らかに異なるものとなっている(100を超える変異、その約3分の1はスパイクタンパク質に集中している。出典:南アフリカのTulio de Oliveira氏のX(旧Twitter)の投稿)。しかしゲノムサーベイランスデータによれば、図に示されたように、この高度に分岐した系統は、現在主流のBA.2.86/ JN.1系統に置換わることはもちろん、拡大もしないようであるため、適応上の優位性は持っていないと思われる。(図はTulio de Oliveira氏がX(旧Twitter)に投稿し提供してくれたものである)。
新たな、遺伝的に分岐したSARS-CoV-2系統は、長期間のSARS-CoV-2感染に苦しむ患者、保菌動物種からの組替え体のヒトへの流出、もしくは、その固有感染性が比較的高いために、高度にC-19ワクチン接種された集団で選択されたことに由来しているのかもしれない。
現在多くのオミクロン由来系統が循環しているが、感染性においてBA.2.86/JN.1 に勝るものはないようである。同時に、様々なCOVID-19症例が診断されているが、その数は(ワクチンによって誘導された)COVID-19非関連疾患の患者数を上回ってはいないようである。(多反応性非中和抗体によって)ウイルスの病原性におよぼされる免疫選択圧力は増大を続けているが、その圧力を克服できる新たな免疫逃避変異株が選択されて初めて、高度にCOVID-19ワクチンを接種された集団で、事態が収束するのだ。このシナリオにおいて優勢となるのは、ただ1種類の変異株とただ1種類の疾患だけである。つまり、WHOが次の深刻な世界的パンデミックを引き起こすものとして恐れている「未来のDisease X」が何であるかは、既に分かっているのだ…
厳しい現実を突きつける見通しであるが、これが、このような集団における現在のCOVID-19を取り巻く状況の静けさの本体(津波の前の静けさ)なのだ。現在水面下で起こっていることを説明するには、津波の形成過程がまさに良い比喩となるだろう。Anthony V.が端的に言い表している。
「私たちは津波の始まり、つまり、海岸線から水が引いているところにいるのではないか(動画参照)。(ウイルス伝播率、COVID-19発症率、死亡率は減少しているが、非常に感染性の高い免疫逃避変異株による無症状感染は続いている)…そのため、海岸にいる人々は,何の問題もないと思っている…。(これまでになく変異株が増大しているこの段階で、)ウイルスは、自身にかけられている巨大な免疫圧力に打ち勝つために必要なエネルギーと戦略を集めているのではないのか?(津波の形成過程のように)」
もしそうだとすれば、重要なことは、ウイルスが、現在受けている、その存続を脅かすような免疫圧力から逃れることのできる変異株を呼び起こすまでに、どれだけの時間が必要か、ということである。正確にそれが分かる者は誰もいないが、全てのCOVID-19ワクチン接種者は,用心のために、ヒドロキシクロロキンやイベルメクチンによる適切な治療を検討しておくのが賢明だろう。