小児多系統炎症症候群(MIS-C)は子どもに対するSARS-CoV-2のワクチン接種を(全く!)正当化しない。
MIS-Cとは、学童期の子どもがSARS-CoV2(SC-2)ウイルスに感染してから2〜6週間後に発生する可能性のある疾患である。MIS-Cは、典型的には、無症状または軽度のSC-2感染後に発生する感染後の炎症状態である。様々な臓器で炎症反応が起こるため、入院が必要になる子どももいる。本症は重症化する可能性があるが、MIS-Cの絶対リスクは非常に低く(10万人年あたり約6.5人)、外国生まれの両親、喘息、肥満、生命に関わる基礎疾患を持つ5〜11歳の男児で増加することが知られている(https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S2666-7762%2822%2900137-5)。
MIS-Cは、適切な時期に適切な(免疫抑制)治療を行えば、ほとんどが数日以内に治癒する。パンデミックが進化し、より感染力の強いオミクロン変異体が主流になるにつれて、MIS-Cの発生頻度は低下し、重症度も低下している(https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2792718)。この年齢層でのワクチン接種率はまだ非常に低いため、この進化は、子どもへのC-19ワクチン接種で完全に説明することはできない(最近のイスラエルと米国の研究ではそれぞれ15%と3%が報告されている;https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2792718;https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciac471/6605071)。
したがって、ウイルスの感染力および伝播の増強が、幼児におけるMIS-Cの発症率および重症度の低下に大きく寄与していると推測することができるだろう。この推測は、先行研究でも支持されている。先行研究の著者らは、MIS-Cの危険因子のいくつかが、病気の伝播性の促進に関連しているのではないかと推測している(例えば、外国生まれの両親を持つ子供たちや、パンデミックの期間中、MIS-Cの子供の年齢が12歳から15歳から5歳から11歳へとシフトしたこと)(https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S26667762%2822%2900137-5)。
本疾患の起源、特に小児がMIS-Cに感染しやすい理由を理解するためには、急性自己限定性ウイルス感染症(ASLVI;SC-2など)や急性自己限定性ウイルス疾患(ASLVD)を引き起こす糖鎖ウイルスに感染した際に、小児の自然免疫系がどのように教育・訓練されるかを知ることが重要である。
子どもの自然免疫系は、まず病原体由来の分子パターンを識別し、それを自己由来のモチーフと区別することを学ぶ。いったん子供のナチュラルキラー(NK)細胞が、病原体由来の自己類似ペプチド(PSMP)と、自己由来の自己類似ペプチドの違いを十分に区別できるように「教育(1)」( あらかじめ条件づけ;プライミング)されると、その後の高密度でのパターンの提示により、エピジェネティックな変化が起こり、これらのNK細胞に記憶が刻まれる(いわゆるNK細胞の「訓練」)のだろう。
母親由来の抗体がなくなる時期の幼児(生後6ヶ月頃)にとって、豊富に作り出されている自然抗体は、自らの免疫系を目覚めさせるために重要な役割を担っている。小児期において、自然抗体は、循環する自己由来の糖鎖モチーフ(例えば、異物由来[病原体由来を含む]あるいは自己由来のタンパク質の修飾)を認識して結合し、自己の体細胞あるいは抗原提示細胞(APC)の表面の異物あるいは自己由来の自己類似ペプチドの反復パターンの提示を増強する役割を担っている(2)。自己タンパク質の糖鎖修飾は、T細胞を介した末梢性の免疫寛容を誘導するための重要なメカニズムであり(3)、当然のことながら、いくつかの病原体(例えば、糖鎖ウイルス)は宿主免疫系を欺くための戦略としてそれを模倣している。糖鎖ウイルス(コロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、麻疹、おたふく風邪、風疹、水痘ウイルスなど)は、その糖鎖を自己類似パターンで修飾しているので、自然抗体よって認識・捕捉され、それによって子どもの自然免疫エフェクター細胞(すなわちNK細胞)の教育に貢献する。成長するにつれて、自然抗体の機能は徐々に低下し、免疫系は「自己」を感知する自然抗体に代わって、ウイルス感染した宿主細胞や病的に変化した宿主細胞の自己類似モチーフ(すなわち「変化した自己」)を認識して、それらの細胞を殺すことができるプライミング済みNK細胞のプールに徐々に移行していく。子どもが有効な自然抗体を豊富に持つ限り、自然抗体は糖鎖を持つ病原体や自己リガンドと複合体を形成し、NK細胞に「自己」と「非自己」を区別する方法を教育していくことになる。このようにして幼い子どもの自然免疫系は、人生の初期において母体外環境に「適応」し、自己ペプチドとは異なるペプチドモチーフを迅速に感知することを学んでいくと考えられている。こうしてNK細胞は、「変化した自己」ペプチドで修飾された自己の宿主細胞(例えば、感染した宿主細胞や、病的に変化した宿主細胞)を標的にして殺傷することができるようになるのである。
いったんNK細胞が教育されると、そのNK細胞は訓練によってその機能的再プログラム化が行われる(https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2018.01869/full)。訓練は、SC-2感染の様相の変化によって引き起こされるエピジェネティックな変化から生じ、「適応的」または「記憶を持つような」NK細胞を生成すると考えられている。免疫防御の第一線の十分な訓練により、子供は将来のSC-2(および同じPSMPを共有する他の糖鎖ウイルス/病原体)に対する防御的自然免疫を獲得することができる(4)。このことは、弱毒生ウイルスを用いた小児期の予防接種が、麻疹、おたふく風邪、風疹、水痘に対する自然免疫を誘導し、集団免疫を作り出すのに非常に有効であることを説明できる。そして、抗原的に「シフト」した(すなわち、全く異なる)変異体に感染した場合にのみ、自然免疫を獲得した人でもADEIにより疾病にかかることがあるのである。
しかし、ウイルスの感染状況によっては、通常は子どもに症状を起こさないASLVIを引き起こす糖鎖ウイルスであっても、幼く健康な子どもに増殖性感染を起こしやすくすることは十分にあり得る。
再生産数(R0)が比較的小さいウイルス(風邪のコロナウイルスや季節性インフルエンザなどR0<2.5程度のウイルス)が流行した場合,健康な幼い子ども達は、ほとんどの場合,無症状またはごく軽症の感染となる。しかし、より感染力の強いコロナウイルスやインフルエンザウイルスの変異体が主流になって流行すると、子どもが重症化するケースも生じる。ウイルスの感染力が強いと、無症状で感染した後、すぐに再感染する可能性が高いと考えられるだろう。無症状あるいは軽度の感染によって、通常、一時的に比較的親和性の低い未熟な抗原特異的抗体(5)が誘導されるが、このような場合には、再感染時にはその抗体がまだ残っている可能性が高くなる。この抗体はその特異性により、子ども達が生まれながらに持っている多特異的IgM抗体(自然抗体)を打ち負かしてしまう。自然抗体は感染開始に必須のタンパク質抗原(コロナウイルスの場合はスパイクタンパク)に対する親和性がさらに低いためである。したがって、この非中和性の抗原特異抗体は、その力価(量)にもよるが、自然抗体とウイルスとの結合を阻害しなかったとしても、減少させてしまう。この短期的な抗体はウイルスを中和することはできないが、ウイルスに結合してその感染力を増強することはできる。
このことは特に幼い子どもで問題となる。なぜなら、NK細胞の訓練が不十分なため、ウイルス由来の自己類似ペプチドを表面に発現するSC-2感染細胞を効果的に免疫の標的とすることができないためである。「病原体を経験していない」NK細胞に、より強い感染力のSC-2が加わり、子ども達がSC-2に感染しやすくなるのだ(いわゆる「抗原依存性感染増強」:ADEI)。従って、過去に無症状で感染した後、すぐに再感染すると、ウイルスが子ども達の細胞性自然免疫系を突破し、(重い)疾患を引き起こす可能性があると考えられる(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33391280/)。
しかし、この感染後の抗体は急速に減弱するため(約8週で検出できなくなる)、前回の増殖性感染の直後にウイルスに再曝露する子どもは限られている。そのため、MIS-Cのほとんどの症例が、前回の無症状または軽症の感染から2〜6週間後(平均4週間後)に発症しているが、これは再暴露時の感染増強抗体の力価(量)依存していると思われる。また、MIS-Cの重症度に大きなばらつきがあることも、驚くにはあたらない。
より感染力の強いSC-2変異体は、NK細胞をより強く刺激することができ、それによって幼い子ども達のNK細胞のエフェクター反応を容易に促進することができるかもしれない。あるいは、より感染力の強いSC-2変異体は、感染増強性の抗S抗体の抗体価が比較的高い状態でのウイルスの再暴露の可能性を高めるかもしれない。どちらの場合も、幼い子どもにおけるMIS-Cのリスクは減少すると考えられる。
長年にわたるNK細胞ワクチン研究の結果、私は、MHCクラスI分子にPSMPを「非自己」の高密度配列(MHCクラスIペプチド結合溝の外側に位置する!)に取り込むことで、細胞障害性NK細胞の活性化およびエピジェネティックインプリンティング(すなわち訓練)が可能になると突き止めた(知的所有権の関係で未発表)。それにより、NK細胞は表面にそのようなPSMPを発現した宿主細胞(例えばウイルス感染した細胞)を殺傷できるようになる。
私は、ウイルス感染性の増強による強い刺激は、エフェクターNK細胞に記憶を刷り込むために必要な累積的な刺激(いわゆる「訓練」)を不要にすることさえできると考えている。記憶のような性質を獲得したNK細胞は、関連する糖鎖病原体に感染した宿主細胞をすみやかに排除することができるだろう。ウイルスの感染性の増強は、自然抗体の存在下であっても幼い子ども達における増殖性のSC-2感染を可能にし、それによって、あらかじめプライミングされたNK細胞の「強化訓練」を可能にするかもしれない。症状が軽かったとしても増殖性感染は、病原体由来のリガンドに対するNK細胞機能の定期的な段階的な訓練に代わる、単回の「強化訓練」イベントとなる可能性がある。
したがって、ウイルスの感染性が高まるにつれて、PSMPに対する本格的なNK細胞の「プライミング」が向上するため、最近軽症となったC-19ワクチン非接種の子ども(若者の一部も)には自然免疫記憶が備わり、感染増強抗S抗体を発現しなくなると考えられる(図1参照)。あるいは、ウイルスの感染力の増強によりウイルス感染率が高くなれば、無症状のSC-2感染後に再暴露するまでの平均時間が短くなるが、再暴露までの期間が短くなることで、感染増強抗体の力価が比較的高い間に再暴露が起こることになる。自然感染によって誘導される感染増強抗体もワクチンによって誘導されるS特異抗体と同様に働くと考えることは不合理ではない。これらの抗体の濃度が十分に高い場合、これらの抗体の一部は樹状細胞に付着したSC-2ウイルスに結合し、それによって疾患軽減効果を発揮すると考えられる( https://www.voiceforscienceandsolidarity.org/scientific-blog/predictions-gvb-on-evolution-c-19-pandemic および 図2参照)。
以上説明した根拠に基づいて、C-19パンデミックの長期化と、より感染力の強い変異体(例えばオミクロン)による繰返す波の頻度の増加が、(機能的な自然抗体が豊富にあることにより)軽度の感染を起こしたC-19ワクチン非接種の子ども達のNK細胞に「強化訓練」効果を与える、あるいは最近無症状でSC-2に感染した人に強い疾患軽減の適応免疫応答をもたらす可能性を容易に理解できるであろう。後者の場合は、感染増強抗体と細胞傷害性CD8+T細胞によって、それぞれ重症疾患および中程度の疾患から保護されるであろう(図2参照)。ウイルスの感染力がさらに高まっても、それまで無症状であった幼い子供たちが病気にかかりやすくなるのではなく、むしろ増殖性のSC-2感染を起こし、記憶を持つエフェクターNK細胞を生成する、あるいはそれらをさらに拡大する可能性が高まる(図1の緑の矢印)。このような理解に基づけば、オミクロン変異体やその亜株の登場により、MIS-Cの発症率や重症度が急速に低下していることは驚くべきことではないだろう(https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2792718)。
集団ワクチン接種は、子どものSC-2感染にどう影響するか?
このパンデミックの間、集団ワクチン接種プログラムにより、より感染力の強いSC-2変異体が主流となって拡大したため、少数の幼い(C-19ワクチン非接種の)子どもがMIS-Cに感染し、入院を必要としたことは驚くべきことではないーこれはパンデミックの初期には極めてまれな出来事であった。しかし、集団ワクチン接種プログラムによって、ウイルスの固有の感染力が高い免疫逃避変異体(例えば、デルタ変異体)が競争上優位となった。その結果、集団内(家庭内も含む)の感染率が上昇し、無症状感染の直後に幼児が再感染する可能性が高くなった。上述の通り、MIS-Cの発生率は、自然免疫の訓練が進み、より強い感染力を持つSC-2変異体が優勢となり、(重症化を)緩和した結果、現在では減少しつつある。
子どもたちにSC-2ワクチンを接種することは、健康への破壊的な影響をもたらす可能性のある、とてつもない科学的過ちである。
適時適切な治療を行えばMIS-Cの予後は非常に良好であるため、その初期症状について保護者に十分な説明を行う必要がある(https://www.hopkinsmedicine.org/health/conditions-and-diseases/coronavirus/misc-and-covid19-rare-inflammatory-syndrome-in-kids-and-teens)。しかし、現在の非複製型C-19ワクチンを幼い子どもたちに接種すれば、入院や死亡率はこれまでに観察されたMIS-Cのそれをはるかに上回り、決して許されない罪となるだろう(https://www.trialsitenews.com/a/intra-pandemic-vaccination-of-toddlers-with-non-replicating-antibody-based-vaccines-targeted-at-aslvi1-or-aslvd2-enabling-glycosylated-viruses-pr-66e8b959 (和訳); https://www.trialsitenews.com/a/epidemiologic-ramifications-and-global-health-consequences-of-the-c-19-mass-vaccination-experiment-a212bb47)。
これらのワクチンは、ー今のところ(!)ーSC-2や他のASLVIやASLVDを引き起こす糖鎖病原体からの(重症)疾患を防ぐことができるという事実はあるが(https://www.trialsitenews.com/a/vaccination-of-vulnerable-groups-against-monkeypox-virus-mpv-in-a-highly-c-19-vaccinated-population-will-drive-adaptive-evolution-of-mpv-and-ignite-2db3eac6 (和訳))、より感染性の高いオミクロン変異体とその亜種(例えば、BA, BA.4、BA.5およびBA.2.12.1)の組織常在樹状細胞への吸着または内在化が促進されると、CD8+T細胞を消耗させると同時に、これらの抗原提示を専門とする細胞による他の病原体由来の抗原の提示が弱められる(図2参照)。このことは、多くの微生物の糖鎖病原体に対する子どもの免疫防御力を低下させ、末梢での寛容を妨げ、その結果、免疫異常を来す可能性が高まる(https://www.trialsitenews.com/a/epidemiologic-ramifications-and-global-health-consequences-of-the-c-19-mass-vaccination-experiment-a212bb47)。
さらに重要なことは、現時点では感染を増強する抗S抗体の病原性阻害活性によって抑制されているが、現在流通しているオミクロン変異体はすでに固有の高い病原性を持っている(https://www.voiceforscienceandsolidarity.org/scientific-blog/predictions-gvb-on-evolution-c-19-pandemic にまとめた)。我々はすでに、より感染性の高い変異体がC-19ワクチンによって誘導された感染中和抗体に対する耐性を獲得したことを目撃している。より毒性の高いSC-2系統が同様の「トリック」を使って、毒性「中和」抗体に対する耐性を獲得することは疑いない(特に、より感染性の高いオミクロン変異体に繰り返しさらされると、ワクチン由来のS特異的抗体が呼び戻されるため、免疫圧が確実に持続するからである)。これが起こると、ワクチン接種を受けた乳幼児は、もはや重度のC-19疾患から保護しない適応免疫系と、長期間の教育停止により訓練されていないNK細胞とともに残されることになる(https://www.trialsitenews.com/a/intra-pandemic-vaccination-of-toddlers-with-non-replicating-antibody-based-vaccines-targeted-at-aslvi1-or-aslvd2-enabling-glycosylated-viruses-pr-66e8b959 (和訳))。自然免疫の発達が遅れると、細胞傷害性NKエフェクター細胞が、ウイルス感染宿主細胞上に発現するウイルス由来の分子自己類似ペプチドを感知して標的とする能力が低下すると考えられている。既に報告されているように、自然免疫の教育の欠如は、特にSC-2や他のASLVI-あるいはASLVDを引き起こす糖鎖ウイルス一般に対する子供の自然な免疫力の生成能力を劇的に阻害する可能性がある(https://www.trialsitenews.com/a/epidemiologic-ramifications-and-global-health-consequences-of-the-c-19-mass-vaccination-experiment-a212bb47)。
一方、外来糖鎖リガンドと自然抗体の複合体形成が低下すると、自己MHC-I抑制化受容体を持たないNK細胞は、自己由来ペプチドによる刺激が慢性的に低レベルとなる結果、活性化受容体の活性化に対して低応答性になる可能性がある。その結果、末梢でのNK細胞活性化の閾値が低下するため、C-19ワクチン接種を受けた幼い子どもは免疫病態を発症しやすくなると考えられる。
しかし、病原性「中和」抗体に対する耐性が発達した場合、SC-2感染率が高いことから、C-19ワクチン接種を受けた乳幼児は、他のASLVIまたはASLVDによる重症化や免疫病態によるものではなく、主に抗体依存性の重症C-19疾患の増強を被ると予想される。
結論
SARS-CoV-2への曝露の増加は、より感染力の強いSC-2変異体の優勢な拡大によるものであり、これはC-19集団ワクチン接種プログラムによって引き起こされた現象であることは否定しようがない。先行研究の結果から示唆されるように、SC-2への曝露の増加と多くの素因により、幼い子ども達が直近の無症状感染に続いてMIS-Cを発症することがあるが、その可能性はきわめて小さい(https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S2666-7762%2822%2900137-5)。
子ども達へのSC-2ワクチンの接種は大きな誤りであり、子どもが深刻な健康被害を受ける危険性が高いだけであることは間違いない。MIS-Cは発症率が低いだけでなく(さらに低下しており)、従来の薬物療法でうまく治療できる。このことは、MIS-Cに対するC-19ワクチン接種の防御効果とは対照的である。この効果は一時的であり、(現在のウイルスの病原性に対する集団レベルの免疫圧の結果、出現し主流となるであろう将来の新しいSC-2変異体)に曝露した際に抗体依存性の重症疾患を発症する高いリスクを幼児に残しているのである。
極めて重要なことは、C-19ワクチン接種の不足ではなく、集団接種により高率にC-19ワクチン接種を行ったために引き起こされたウイルス感染率の高さがこの現象の原因であることを理解することである。したがって、小児にSC-2ワクチンを接種することを是とする科学的根拠は一つもない、それどころかまさにその逆である。幼い子ども達へのC-19ワクチン接種は、免疫病態や他の微生物感染による重篤な疾病や死亡率の急増を引き起こすだけでなく、最終的にはSC-2による死亡をも引き起こす可能性が高い。
公衆衛生当局は、適切な時期に効果の高い治療を受けさせるためにMIS-Cの初期症状や徴候を認識する方法を親たちに教育する代わりに、C-19ワクチンで子どもが守られるという幻想を親に与えている。さらに、SC-2を含むASLVIに対する集団免疫の重要な柱である幼い子供たちの自然な免疫力を維持することが非常に重要であることを無視しているように思われる。
図
図1:
感染力の強いSC-2変異体にさらされた幼児は、無症状で感染した後、すぐに再曝露することでMIS-Cを発症することがある。しかし、SC-2の感染性が高まるにつれて、新しいSC-2変異体は、小児の自然抗体を介した防御を突破し、軽症の感染を引き起こす結果、小児のNK細胞に記憶を刷り込み、小児の免疫防御の第一線を劇的に向上させる可能性がある。あるいは、より感染力の強い変異体の蔓延は、一時的に増加する感染増強性の抗S抗体価の高い状態で再曝露する可能性を高める。後者の場合、一部の抗S抗体が樹状細胞に付着したSC-2ウイルス粒子に結合することにより(図2参照)、重症/全身性疾患が抑制され、その一方(遊離ウイルス粒子と結合した場合のこれらの抗体の感染増強効果によって)細胞傷害性T細胞(CTL)が持続的活性化しC-19疾患がさらに緩和されるため、幼い子ども達は重症化から守られると推定される。この2つのシナリオの両方が、パンデミックの進化に伴い、MIS-Cの発症率と重症度が低下していることの原因であると考えられる(”ー”と青矢印)。パンデミックは現在、感染力の強いSC-2変異体(すなわち、新しいオミクロン変異体とその亜株)を進化させているので、子ども達がウイルスにさらされると、容易に軽い感染症を引き起こし、NK細胞の「強化訓練」の機会となっている。そのためウイルス感染率がさらに上昇するとエフェクター記憶NK細胞がさらに増加する(”+"および緑色の矢印)。これにより、最終的には幼小児期のMIS-C発症を完全に防ぐことができるかもしれない。
図2:
全身性/重篤な疾患(そしておそらく死亡)に至らない急性自己限定性ウイルス感染は、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)非拘束性細胞障害性CD8+T細胞によって終息する。この細胞は記憶を持たず、スパイク(S)タンパク質内に含まれる普遍的、変異体非特異的T細胞エピトープによって活性化される。感染者が重篤な疾患に進行しない限り、初回の増殖性感染後に疾患からかなり迅速に(そして確実に、完全に機能するウイルス中和抗体がピークに達する前に)回復できるのはこの働きによる[2a-2b-2c-2dの経路による]。しかし、ワクチン接種者がワクチンに対する免疫逃避変異体に暴露した場合には、この逃避変異体に対する中和抗体が新規に生成されるのではなく、低下した非中和性の感染増強抗体が速やかに増強される(これらは、すべてのSC-2変異体のN-STD内に保存されている抗原部位に向けられており、いったん宿主免疫系をプライミングした後は「抗原原罪」のライセンスとなる)。
C-19ワクチン接種前に増殖性感染との戦いの経験が乏しい(したがって、経路1a-1b-1cによる自然免疫防御の訓練が不十分な)ワクチン接種者では、樹状細胞(DC)に付着したウイルスに結合して重症化を防ぐ役割を果たす感染増強抗体(6)(3a-3b-3c-3d経路による)は、強く活性化された細胞傷害性CD8+T細胞を介した細胞の殺傷(3c')と相乗的に働き、C-19の発症を完全に防ぎ、結果として、ワクチン接種者は非常に再感染しやすいも関わらず無症状となる(B + C → D)。発症阻止は増殖性感染の阻止ではなく、感染の排除の促進によるものであるため、ワクチン接種者は再感染時にSC-2を排出し、感染伝搬を続けることになる。自然免疫のエフェクター細胞( NK細胞)はMHC非拘束性かつ多特異性であり、したがって免疫逃避を促進しないが、感染増強抗体は抗原特異的(すなわちS特異的)であり、もし集団の大部分が十分高い力価と十分高い親和性でこれらの抗体を産生するなら、これらの抗体よる病原性抑制能力に抵抗できる免疫逃避変異体の自然選択を促すことになる。これは、ワクチン接種者が増殖性ウイルス感染を防ぐことができないためである。結果として、ワクチン接種者ががウイルスの病原性に及ぼす免疫圧力は、この免疫圧力を克服する能力を持つ免疫逃避型SC-2変異体の普及拡大を防ぐことができないという点で最適でない。感染増強抗体の病原性抑制作用に対するウイルス変異体の抵抗性は、必然的に抗体依存性重症疾患増強(ADESD)を引き起こすことになる。