現在進行中の免疫逃避パンデミックについての考察
COVID-19の急性症例が沈静化すればするほど、私の懸念は増す・・
数カ月前のことだ。私の仲間の一人が、私が高度にCOVID-19ワクチン接種した集団で重篤なCOVID-19疾患の大きな嵐が起こると予測していることで、私を公然と攻撃し、あざ笑った。彼は、自分自身をワクチン学者であると言っているが、免疫系とSARS-COV-2の進化動態の相互作用について明らかに理解していない。集団ワクチン接種キャンペーンが開始された当初、彼は熱心に私から学んでいたが、いまや、自分の主張を正当化するために、私のことを、マレック病に対する集団ワクチン接種の効果を引き合いに出した獣医、と軽蔑的に呼んでいる。しかも、この人物は、私がこれまでずっと、マレック病の事例をSARS-C0V-2パンデミックの最中に集団ワクチン接種をおこなった場合に当てはめることはできない、と言ってきたことをよく承知しているのだ。この人物は、私のオンライン講義を受けるのではなく、容易い道を選び、私の予測が「無責任」であると単純に切り捨てた。
私はワクチン接種に関連するウイルス免疫逃避を否定する者たちの戯言など重視していないので、ここで最後にもう一度、私の予測を述べようと思う。予測の時期は当初に予測したものとは大きく外れてしまったが、予測自体は変わっていない。繰り返し説明してきたように、この時期のずれは、当時、ワクチンに伴って、これまで知られていなかった、免疫再集中という現象が起こることを考慮していなかったためである。この現象はmRNAワクチンの作用メカニズムによって直接的に、あるいは、どのような種類であれCOVID-19ワクチンを接種した者がブレークスルー感染を起こすことで間接的に引き起こされる(私の著書「回避不能な免疫逃避パンデミック」を参照してほしい。https://www.voiceforscienceandsolidarity.org/geerts-books-and-lectures)。
ワクチン接種者の免疫反応についての私の最新の考察は、私のオンライン講義で毎週受講者に共有されている。彼らはなぜ私がこのように非常に懸念しているのかを理解する数少ない者たちである。私は、この複雑な事象を理解できなかったために、今回、私を信用しなくなった多くの人々を論破したいのではない。そうではなく、私は、ただ、彼らに以下の予測を吟味してほしいと思っているだけである。以下は、高度にCOVID-19ワクチン接種を行った国に私が予測する津波が押し寄せる前に何が起るか、ということについての予測である。:
SARS-COV-2感染は現在ますます慢性疾患化しつつある。SARS-COV-2による慢性疾患症例が、いわゆる「コロナ後遺症(ロングコビッド)」の多くを占めるようになり、しかもほぼCOVID-19 ワクチン接種者に限定されようになる。
COVID-19による入院率や死亡率は比較的低く保たれるが、重篤なCOVID-19孤発症例が増え、ワクチンに関連する超過死亡の要因となるだろう。
下水中のSARS-CoV-2ウイルス濃度(循環している変異株全てを含む)も低く保たれる。
高度にCOVID-19ワクチン接種を行った国では、様々なオミクロン亜株が同時流行するだろうが(BA.2.86, XBB.1.5, EG.5.1, JN.1, JD.1.1, GE.1など)、JN.1クレード(系統)が主流の流行系統であり続けるだろう。
多くの亜変異株が発生するだろうが、感染性が足りないためJN.1クレードに取って代わることはないだろう。
この春の間、コロナ後遺症の患者数は着実に増加するだろう。そして、抗体非依存性重症COVID-19疾患増強の津波を導く。このようにして、冬季から大きく外れていようが、大波が起こる。
COVID-19の罹患と死亡に、もはや季節性はない。それだけではなく、年齢依存性もなくなり、主にCOVID-19ワクチンの(2回以上)接種と関連している。
重症COVID-19疾患の津波は互いに独立に、mRNAワクチンを集団ワクチン接種に用いた国々で最初に起こるだろう。
未接種者は既に重症化することが少なくなっている。免疫逃避パンデミックが進むにつれ、未接種者の状況は良くなる一方である。
アフリカではこの悪夢のような進化はほとんど目立っていない。それは大多数のアフリカの国は集団ワクチン接種を行うという「恩恵」を受けなかったためである。
急性の有症状感染がますます減少していることから、公衆衛生当局や専門家はCOVID-19パンデミックの最悪の時期は過ぎ、集団免疫のおかげ(!)でウイルスはエンデミック化したという誤った印象を抱いている。彼らは、ウイルスは今も極めて高い伝播力を持ち、進化を続けていることは無視しているようである。感染の多くは典型的な急性自己限定性感染の経過をたどらなくなり、より長期化し、慢性疾患の性質さえ示すようになってきている。そのため、COVID-19の(重症)急性疾患にまつわる騒ぎの多くは、他の騒ぎに取って代わられた。どんなにそれらの脅威が声高に騒がれても、狡猾な免疫逃避パンデミックの脅威に比べれば、まだましである。
COVID-19の急性有症状感染から不顕性の慢性疾患への変化が進んでいることの背後にある免疫学を理解したい人は、以下の推論を読むと良いだろう。:
集団免疫の欠如によって、着実に感染性を増しながら新たに出現する変異株によるワクチン・ブレークスルー感染が繰り返され、無症状/不顕性でのウイルス排出や慢性疾患(「コロナ後遺症(ロングコビッド)」)が増加した。この現象が現在、ウイルス伝播の持続とウイルス複製に対する免疫選択圧力の持続に寄与している。しかし、ウイルスの感染性が増加するにつれ、ウイルスと抗原提示細胞(上気道に常在する樹状細胞を含む)との相互作用が変化し、ウイルスはそれらの細胞に取り込まれるというよりも、吸着するようになっている。これが急性自己限定性感染が慢性疾患へ変化した理由である! なぜか? 感染性の高いウイルスが上気道に常在の樹状細胞に、より多く吸着するほど、ウイルスの病原性を抑制するために、より高濃度の多反応性非中和抗体が必要となる。私はオンライン講義で、ワクチン・ブレークスルー感染後の低親和性抗体によるウイルス粒子の複合体形成が、多反応性非中和抗体の再産生を刺激するというよりも、抗原提示細胞によるウイルス-抗体複合体の取り込みを促進することを説明している。その結果、多反応性非中和抗体の濃度が最適値を下回るようになり、ウイルスの病原性に免疫選択圧力がかかるようになる。こうして、高度にCOVID-19ワクチンを接種された集団で、病原性を抑制している多反応性非中和抗体を広範に逃避する新たな変異株の出現のための道が開かれるのだ。
COVID-19の急性疾患から不顕性の慢性疾患への変化に寄与する免疫学的要因について理解したい人には以下の説明が役立つかもしれない。:
集団免疫の欠如は、ますます感染性を高めるワクチン・ブレークスルー感染の繰り返を促進し、それによって、大きなウイルス-抗体複合体が形成され、抗原提示細胞に直ちに取り込まれて細胞傷害性T細胞が活性化される。このような細胞傷害性T細胞によってウイルス感染宿主細胞が除去が強化されるため、無症状/不顕性のウイルス排出が促進される。この現象が現在、ウイルス伝播の持続とウイルス複製に対する免疫選択圧力の持続(他のウイルスタンパクの変異がそれを現している)を支えている。しかし、JN.1とその子孫は、ウイルスと抗原提示細胞(上気道に常在する樹状細胞を含む)との相互作用を変化させ、ウイルスはそれらの細胞に取り込まれるというよりも、吸着するようになるため、ウイルスの病原性を効果的に「中和」するために、より多くの多反応性非中和抗体が必要となる。ワクチン・ブレークスルー感染後の大きなウイルス-抗体複合体の形成は低親和性抗体によって促進されるが、その複合体は多反応性非中和抗体を再び増やすというよりも、むしろ、抗原提示細胞に、より多く取り込まれるようになり、多反応性非中和抗体の濃度が最適値を下回るようになり、ウイルスの病原性に免疫選択圧力がかかるようになる。
この過程によって、特に、高度にCOVID-19ワクチンを接種された集団内で、多反応性非中和抗体の病原性抑制効果を広範に逃避する新たな変異株の出現のための準備が整うのだ。
免疫逃避パンデミックにおけるウイルスと抗体の相互作用の進化動態を理解することは、COVID-19が急性自己限定性上気道感染から亜急性自己限定性肺疾患、そして、遠隔臓器での慢性疾患症状(通常、「コロナ後遺症」と呼ばれる。) へ変化しているという極めて重要な現象を理解する上で鍵となる。
以上のことから、私がこれまでずっと、以下のように表現し続けている理由がわかるだろう。:
「高度にCOVID-19ワクチンを接種した国の社会は不意をつかれるだろう」
「アフリカが勝利する」
「今は嵐(津波)の前の静けさである。」
「二頭の犬が骨を争っている(集団ワクチン接種プログラムの利害関係者と反対者の間の争いの比喩)。三頭目(ウイルス)がやって来て、骨をさらって行く。」または、「さまざまな関係者が支配権を争っているが、誰もウイルスのことを完全に知ることは出来ない。」
「科学者も公衆衛生当局も、いまや木を見て森を見ずである。」
「COVID-19集団ワクチン接種プログラムが悲惨な結果をもたらすことは十分に予測できた。」
「ウイルスと免疫の間の壊れたバランスを修復できるのは自然だけである。」
この仲間は、より厳密に探求して行くことよりも、数ヶ月様子を見て確認することを望んだが、私は、そのような無計画な姿勢ではこの危機を緩和できないことは明らかであり、対策をとるための十分な時間を得ることもできない(厳重なロックダウンを除いては)と改めて言いたい。だから、誰かが、COVID-19ワクチンを高度に接種された社会に非中和抗体による病原性抑制効果を克服しうる新たなSC-2変異株が放たれる時期の予測について知らせるという不愉快な仕事を引き受けなければならないのだ。
2024年4月末までにこれが起こる可能性:50%
2024年6月末までにこれが起こる可能性:99%
2015年、私は、皮下接種によって病的に変化した宿主細胞を認識するようNK細胞を訓練できる、シンプルで安全かつ不純物のないネオペプチドコンストラクトをデザインした。このコンストラクトには様々な予防的治療的用途が考えられるが、なかでも、C-19接種者のNK細胞を介する自然免疫を訓練することに用いることができ、非接種者と同程度の「訓練された」状態を提供することができるだろう。これまで非接種者は、この訓練された状態になるために、症状や体調不良を経験しなければならなかった。この純粋な、アジュバントを含まないコンストラクトは、COVID-19疾患の症状を引き起こすことなく、また、副作用も伴うことなく、そのような的を絞った訓練を行うことができる。しかし、たとえ、このNK細胞の働きを高めるプラットフォームの開発に積極的に協力してくれる科学者のチームを見つけることができたとしても、臨床研究は間に合わず、適切な時期にライセンスを取得することはできないだろう。ただ、私がこの発明を商業的に利用しようとしているわけではないことだけは知っておいてほしい(金銭的な利益ではなく、健康という点でこの技術から利益を得るすべての人が、この技術を利用できるようにしたいと常に考えているということ以外には)。
完全接種者が、免疫に頼らずに、重篤なCOVID-19疾患増強に罹るリスクを大幅に減少させる唯一の代替案は、抗ウイルス剤の予防的(!)使用である。そのような抗ウイルス剤は安全で、広範な(すなわち、循環している全てのSARS-COV-2変異株に対して)有効であり、手頃な価格で十分な量が供給されなければならない。
この投稿によって、私の仲間は、何度も繰り返され、6カ月毎に更新される、気の滅入るような私の予測に耳を貸すことは止めるように、再度、多くの人々に呼びかける気になるだろうと思う。彼は自分の言うことを聞かない集団ワクチン接種ロビーを非難している。彼の批判に、私は時々「The pot calling the kettle black [訳注]」という諺を思わずにいられない。
[訳注] The pot calling the kettle black:鍋がヤカンを黒いと言う。日本の諺なら、「目くそ鼻くそを笑う」と言うところか。
[訳注] 2024/3/26
著者のX postに従い予測時期を修正しました。
(修正前)2024年7月末までにこれが起こる可能性:99%
(修正後)2024年6月末までにこれが起こる可能性:99%
ちなみに本稿は2024/3/22にSubstackに投稿された
The quieter it gets around the acute cases of (severe) Covid-19 disease, the more worried I become...
に加筆修正したものと思われます。
いただいたサポートは一般社団法人ワクチン問題研究会に寄付されます。