ゲームチェンジャー?何を言っているんだ!全然違う!

Dr. Geert Vanden Bosscheの2024年11月14日投稿(Substack)
Game-changing? What the heck! It’s not even close!
の翻訳です。原文を参照の上ご利用ください。

X(旧Twitter)で「針が要らないCOVID-19(弱毒生)経鼻ワクチン」を称賛する大胆な記事を目にした。それで、引用された論文自体を読んだが、基本的に私の予想した通りのものであった

どこまで免疫学的に「無知」でいられるのだろうか。以下に私のコメントを要約する。

  • 「抗原的に広範な免疫反応」だけでは、新たに出現する免疫逃避変異株に対する防御は保証されない。中和抗体が完全な中和力を発揮するようになるまでには数週間のタイムラグが必要だからだ。中和抗体が量的に不十分であったり、機能的に不十分である間、たとえば、1回目のワクチン接種の後や、抗体が減少しつつある時にウイルスに曝露すると、免疫選択圧力が強まり、ウイルスの免疫逃避が促進される。

  • 粘膜抗体は通常、長続きせず、寿命は短い。この粘膜ワクチンで誘導された中和IgG抗体でさえ、短命であるだけでなく、個人差が非常に大きいようである。(ところで、なぜ彼らは「任意単位(arbitrary units)」で測定しているのだろうか??)

  • この臨床前研究では、観察された免疫防御において細胞性自然免疫が果たす役割について検討していない。したがって、ハムスターとトランスジェニックマウスで観察されたワクチンによる交差防御が、主に自然免疫系のエフェクター細胞によるものである可能性を否定することができない。

  • この臨床前研究では、ヒト型ACE2(hACE2)を発現するトランスジェニックマウスを用いた実験を行なっているが、免疫逃避変異株の中にはhACE2を介さない方法で標的細胞に感染するものがあるため、解釈を誤る可能性がある。

  • 感染チャレンジ研究は、ワクチン接種後短期間に行なわれているため、免疫防御の持続性を示すことはできない。

  • 経鼻ワクチンがSARS-CoV-2感染細胞に対して細胞障害活性を持つT細胞を誘導することを示す証拠は示されていない。さらに、T細胞による免疫原性は、T細胞による免疫防御と同義ではない。

  • 交差中和力(SARS-CoV-1に対するものを含む)は非常に低く、持続する可能性は低い。中和力の弱い中和抗体の交差反応性は、第一に免疫再集中を促進するため、ウイルスの免疫逃避を助長する。

  • ヒト以外の霊長類を対象としたチャレンジ研究が抜け落ちている。なぜなのか。

  • 著者らは、彼らが「スーパー免疫」と名付けた、極めて高いレベルの免疫反応/エフェクター細胞反応に有頂天になっているようだ。私から見れば、これは懸念すべきことだ。免疫学では、「多ければ多い程良い」ということは滅多に当てはまらない。

結論:著者らが称賛する粘膜ワクチンの効果は、あるとしてもせいぜい短期間の防御である。それもパンデミックではない時期に限られる。SARS-CoV-2免疫逃避変異株に対して持続する免疫力をもたらすことはない。それどころか、このCOVID-19パンデミックの最中に用いられたとしたら、そのような変異株の出現を実際に促進したであろう。・・・ところで、COVID-19パンデミックは、まだ終わっていないのだが。

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