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JN.1準種

Dr. Geert Vanden Bossche 2024年4月10日投稿(Voice For Science and Solidarity
JN.1 quasispecies
の翻訳です。
Substack版(2024/4/9)のタイトルはJN.1 is currently evolving into a quasispecies within highly COVID-19 vaccinated populations, providing a fertile breeding ground for a new Coronavirus strain with enhanced virulence.です。
原文を参照の上ご利用ください。

「準種」とは、宿主内に共存する、少しずつ遺伝子配列の異なる無数の近縁変異株集団のことを言う。ソーシャルメディアで変異探索家に注目していれば、JN.1が今や、少しずつ遺伝的に異なる変異株の「一群」に変異しつつあり、典型的な準種集団を形成しつつあることに気付くだろう。

この進化の過程は、ウィルス伝播性に対する細胞傷害性T細胞による非選択的免疫圧力の増大が、現在、複数の有利な表現型という‘機能’を‘獲得’した複数のJN.1子孫株に適応上の優位性を与えているという私の仮説を強く支持する(有利な表現型の例として、中和抗体耐性や、感染性の増加、ウィルス増殖能力の強化などがある)[1]。SARS-CoV-2は、準種集団を形成し、準種内の異なる個々の変異株の間で競争と選択を続けるという、ある種の動的平衡状態を確立することで、ウイルスの病原性に対してますます強まる集団的免疫圧力に適応する能力を実証している。準種は、準種内の変異株が遺伝的に多様であるため、ウィルスが、より迅速に、宿主環境の変化(特定の表現型に対する宿主からの免疫圧力を含む)に適応するための遺伝的変異の引き出しとして機能する。これにより、敵対的な宿主環境への抵抗性を向上させた新たな変異株の出現が促進される(つまり、「ウィルスの機能獲得」につながる)。

ユニバーサルな細胞傷害性T細胞反応の活性化はウィルス伝播を部分的にしか抑制できないため、高度にC-19ワクチンを接種された集団は、ウィルスの宿主内伝播性に対して集団的に非選択的免疫圧力をおよぼすことになる。この非選択的免疫圧力は、やがては、ウィルスの増殖性を強化する変異の組合わせを特徴とする、多様な変異株の同時出現につながる[1]。

JN.1一族のように、炎症を促進するORF8タンパク質[2][3]の分泌を抑制することなくウィルスの増殖スピードを上げることができる変異株は、抗原提示細胞に取り込まれるよりも、移動性樹状細胞に吸着するようになることで競争上の優位性を獲得する(下図参照)。結果的に、流行する変異株にはより多くのJN.1子孫株が含まれることになると考えられる。高度にC-19ワクチンを接種された集団では、ウィルスの伝播性におよぼされる免疫圧力が増しているため、流行する変異株の構成が、早晩、同様のJN.1に由来する準種に収束すると考えるのが妥当である。

さらに、ユニバーサルな細胞傷害性T細胞反応が広範に活性化されると、スパイクタンパク質のN末端ドメインに変異株非特異的に結合する多反応性非中和抗体の濃度が不十分(適正値未満)となる[4]。この抗体の濃度が不十分であるため、高度にC-19ワクチンを接種された集団は、現在、ウィルスのトランス感染性に対する非選択的免疫圧力を高めつつある。これは同時に、ウイルスの宿主内伝播性に対する非選択的免疫圧力の増加であり、ウィルスの病原性と相関する。

ウィルスの病原性に対する免疫圧力が激しくなるにつれ、O型糖鎖付加部位にウィルスの病原性を促進する変異を取り入れた準種内の変異株はどれも、高度にC-19ワクチンを接種された集団で重症疾患を増強する新たなコロナウイルスの起源となりうる[4],[5]。つまり、JN.1によって準種集団が確立されたということは、ウィルスに、構造上と機能上の劇的な変身を遂げる準備が整ったことを示している可能性が高く、高度にC-19ワクチンを接種された集団全体に、増強された重症疾患の大波を引き起こす力を持つ新たなコロナウイルス系統(即ち、HIVICRON[6])の突然の出現を招くことになる。

以上から、私は、慢性のワクチン関連免疫病態(「コロナ後遺症(ロング・コビッド)」)の有病率が増加していることと、JN.1準種の優勢化は、C-19免疫逃避パンデミック最終段階、超急性期が始まったことを示していると確信している。この段階は、C-19ワクチン接種者のあらゆる臓器へのHIVICRONの急激な播種によって引き起こされる、ウィルスの病原性の目を見張るような増強を特徴とする。

最後に、この全く新しいコロナウイルスの突然の出現を、彼らの言うところの「disease X」の深刻な波に結びつけたい輩には、私は以下を強調しておく。この免疫逃避パンデミックに引き続いて新たに出現するコロナウイルス、特に、高度にC-19ワクチンを接種された集団で強い病原性を示すコロナウイルスは、大規模に行われたC-19ワクチン接種プログラムの、遅れてやってきた結果と考えるべきなのだ。何度も述べてきたように、大規模C-19ワクチン接種プログラムは、一連の、多様なウィルス免疫逃避現象を引き起こしただけに過ぎず、まさに人類に対して行われた空前の「機能獲得」実験である。

[1] https://www.voiceforscienceandsolidarity.org/scientific-blog/i-can-now-spot-the-tsunami-at-the-horizon [和訳]
[2] https://www.nature.com/articles/s41467-024-45274-3
[3] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10193824/
[4] https://www.voiceforscienceandsolidarity.org/scientific-blog/predictions-gvb-on-evolution-c-19-pandemic [和訳]
[5] https://www.voiceforscienceandsolidarity.org/scientific-blog/wisdom-from-sherlock-holmes [和訳]
[6] HI-VI-CRON: A Highly VIrulent CoV strain replacing the entire family of Omicron descendants.オミクロン子孫株全体に取って代わる、非常に病原性の高いコロナウイルス系統

fig

図:初期オミクロン子孫株は多反応性非中和抗体依存性感染増強を介して標的宿主細胞に侵入する(❶)。多反応性非中和抗体は樹状細胞に吸着した子孫ウイルスに結合する。その後、樹状細胞は肺や他の遠隔臓器に移動する(❷)。他方、それまでの立体的免疫再集中でプライミングされた抗体は、抗原的により遠くなった免疫逃避変異株に低親和性で結合し、抗体-ウイルス複合体を形成し、巡回する抗原提示細胞に取込まれる(❸)。

非常に感染性の高いオミクロン子孫株は、多反応性非中和抗体依存性感染増強に頼ることなく標的宿主細胞へ侵入できる。非常に感染性の高い変異株が増殖することによって、組織常在性樹状細胞への子孫ウイルスの吸着が促進されるような免疫環境が作られる。新たに出現する、より伝播性の強いオミクロン子孫株(JN.1一族のメンバーなど)は、その固有感染性の高さによって、遊走性樹状細胞への子孫ウィルス粒子の吸着をより増加させ、その結果、抗原提示細胞によるウイルスの取込みは減少する。抗原提示細胞によるウィルスの取り込みが減少するとCD4+T細胞のプライミングが促進される。これらのT細胞の一部は自己反応性であり、その他は外来反応性ではあるが、それまでに立体的免疫再集中によってプライミングされた抗体のブーストを助けるヘルパーT細胞として働くことはできない。抗体に覆われたウィルスという大きな複合体の、対応するスパイクタンパク質関連B細胞エピトープを免疫認識できないためである。これまでにプライミングされた抗スパイク抗体のブーストの減弱は、多反応性非中和抗体の産生減少につながる。

より感染性が高く、より炎症性の強い変異株(即ち、JN.1一族)が、その割合を着実に増すにつれ、多反応性非中和抗体の産生は減少し、それらの感染後に産生される子孫ウィルスは、より多く樹状細胞に吸着するようになり、高度にC-19ワクチンを接種された集団では、ウィルスの病原性に対する免疫圧力が着実に増加していく。このことが、高度にC-19ワクチンを接種された集団で、多反応性非中和抗体によるワクチン・ブレークスルー感染を促進する能力のある新たなコロナウイルス系統の選択を引き起こし、それによって、重症C-19疾患増強の大波が引き起こされる。

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