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永遠回帰(エッセイ)

この自分、この世界しかありえない。こう受けとめることは苦しいことだ。しかし、よろこびは永遠を欲する。よろこびがあれば、この自分とこの世界に「また戻ってきてくれ!」と言うことができる。よろこびによって苦しい過去も一緒に肯定される。

永遠回帰は、ニヒリズムの徹底として、この現実という厳しい世界だけしかないことの自覚をうながすだけではなく、そのつらい現実のなかで少しでもよろこびをくむよう努力することもうながしている。「どうせまた永遠」ではなく、「また永遠にめぐってきてほしい」と思えるように生きることをうながしているのだ。
石川輝吉『ニーチェはこう考えた』

昔から人間関係にうんざりすることばかりだった。小学校ではいじめられ、学生時代は周囲の顔色を伺ってばかりだった。大人になっても、自分の正義を追求すれば、他人は離れていく。何度も痛い目を見てきたつもりだ。

それは一生繰り返される。

だとすれば、それはしょうがないことで、受け入れるしかない。努力云々ではない。現実を受け入れた先にしか、生は肯定できない。

むしろ、交友が狭いからこそ、少ない縁を大事にして生きているのだ。そういう性格になったことに感謝すべきなのだろう。諦めて現実を受け入れるというのも、未来の描き方なのかもしれない。

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