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Childbirth・Whitesky(エッセイ)

出産費用が徐々に上昇していて、公的補助額を上回りそうになっているというニュースがあった。ここ5年で平均4万円ほど上がっているのだそう。政府は補助の増額を検討しているが、費用上昇にこれといった原因もわかっていないため、ふたたび補助が不足するいたちごっこ化が危惧されているらしい。

ふつうテクノロジーが進歩すれば出産の費用だってハードルだって下がるはずで、これはイリイチのいうところの「専門化」の弊害なのだと思う。いまの社会において出産は産婦人科医の独占事業であり、彼らの思う通りに価格設定ができる状況にある。市場経済の力学が適用されず、社会全体の便益が損なわれていく。

最近の私には「できることは自分でやる」というモットーがあり、枕カバーをDIYしたり、ホームページを自作してみたりしている。「さすがに出産を自分たちだけてやる勇気はないよね」と、それを知っている彼女に話してみた。彼女は気の抜けた相槌を発して、手元の甘いココアのトレイに目を落とした。彼女の背中にあるガラス越しの空が澄んだ白で、気を取られてたら次の話題にうつっていた。

サンプルのホームページを作るのにサーバーを借りたので、アフェリエイトでもやろうかと思いついた。カフェを出て、近くの本屋で文献を立ち読みする。こつこつと続ければ、安定した収入源になると書いてあった。大学時代、アフェリエイトを宗教団体と勘違いしていたと話すと、彼女は声をあげて笑った。いま思うと、アレフと混ざっていた。

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