『滅相も無い』と『空洞です』 2024/04/20
川端(中川大志)は幼い頃から他人に怒れず、恋人から遅刻や不倫などの扱いを繰り返れている。怒れないことを教祖の小澤(堤真一)に相談すると、それは自分が感情を持つことを抑えてしまっているからだとアドバイスされる。意を決して怒る川端。恋人と別れた川端は、すっきりとした表情で「穴」へと入っていく。
驚くべきは、他人に怒れないという悩みを乗り越えた川端には、「穴」に入る理由がないことだ。むしろ、理由がないからこそ穴に入るとでも言いたげだ。それは川端という空洞が、穴という空洞に吸い寄せられていくのに近い。
「穴」に入った人間は、誰一人として帰ってきていないが、結ばれたロープで生存は確認できる。その点で「穴」は死と明確に区別されている。死んでいるわけでもないが、生きる力もないという時代感覚。
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