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恨みを晴らす(エッセイ)

節目の日には筆が進まない。心の奥底でどこか期待していたのだろう。平凡で、なんなら後味の悪いくらいの日だった。前向きに30代の目標でも書けば共感でも集まるのだろうか。優しくしてもらえるのだろうか。

30歳を迎える瞬間は一人で居たくないと言って、昨日は彼女に泊まってもらった。炎天下で坂道を歩いたらしく、家に到着した時点で疲れ切っていた。零時を跨ぎ、すぐに狭いベッドに並んで寝た。寒くてあまり眠れず、今日はずっと頭が重かった。

ぼんやりと抱負を考えたりもするけれど、「20代より〇〇」といった凡庸な言葉しか浮かばない。まるで20代の恨みを晴らすみたいだ。いっそのこと、胸を張って恨みを果たしてもよいのかもしれない。誰かを見返せるほど、誰からも共感されない人生だ。

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