見出し画像

ノスタルジー 2024/10/10

朝、事務所に入るとリュックを置く前に上司に話しかけられた。昨夜私が事務所の二重鍵のうち片方を閉め忘れてしまい、朝から悪戦苦闘したというクレームだった。謝りながら笑ってしまった。そのまま、怪文書の騒動についての話題になった。昨夜私が弁護士に相談した結果がとても気になっているようだった。私は聞いた内容をそのまま、なるべく穏やかに伝えた。上司は平静を装いながら、まるで自分に言い聞かせるようにポジティブな言葉を口にした。

上司は決算の準備に忙しいらしく、領収書を整理しながらしきりに一年間を懐かしんでいた。去年の今頃はこっそりと新会社設立に動いていた時期で、退職までのスケジュールを逆算しながら過ごしていた。私はまだノスタルジーに浸れる余裕もなく、むしろ忙殺されそうな来年のスケジュールに絶望している。

終業後は書店に寄り道して、POPEYEのバンド特集を立ち読みしてみる。特集の1ページ目が案の定シャムキャッツだったのでなんともいえない気持ちになった。カルチュアルなライフスタイルの延長線上としてのバンドライフには、どうしてもコンプレックスを感じざるを得ない。ヨコ文字のひとつも使いたくもなる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?