見出し画像

なぜ働いていると本が読めなくなるのか 2024/07/18

三宅香帆さんの『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を読む。まず何より、紹介と引用が紙面のほとんどを占める文体に驚く。

信頼できる書き手である分余計に、同世代の三宅さんがここまで全方位に気を使わなければ意見を表明できない状況が、読んでて疲れる。

誰かが傷つかないように、当たり障りのない論旨が並べられ、仕事の手を緩めましょうという無難な結論に着地する。「読書とは?」「知識とは?」という森には決して足を踏み入れない、悪い意味で手緩い本だった。

朝の小田急で本を読み終えて、そのまま町田に行った。我々と同時期に独立した元社員の事務所は、広々として落ち着いた時間が流れていた。上司と梱包作業を終えて、その元社員にパソコンの使い方を教えてあげる。上司が私の退職を思い留まらせるように、遠回しにあれこれ伝えてきた。

夜は西荻に帰り、宮台真司のトークイベントに行った。2列目の狭い席に座ると、ADHD風の男の真後ろになってしまい、見えづらくて気分が台無しだった。シャカシャカとフリスクを食べ始めたので、「うるさいです」と耳元で脅すと、やっと少し静かになった。

大半が能登での思い出トークのような内容だったが、最後の質疑応答でゲストの森本さんが「海は怖い」という話を切り出し、次いで宮台さんが「こわいけどこわくない」というアンチノミーを語った。仲間とは命を預け合う存在という話がとてもよかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?