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東京都同情塔 2024/02/17

Twitterで、九段理江が水着姿を投稿したのがタイムラインに流れてきて、変な気持ちになってしまった。別に芥川賞作家といえどビキニくらい着るのだろうが、芥川賞と水着というかけ離れたイメージが艶かしく結び付いた姿に、心がざわついてしまった。

不純な動機を心の奥にしまって読み始めた『東京都同情塔』は、やはり少女が悪趣味な遊びに興じるような小説だった。ポリコレと自己検閲、犯罪者と同情、SNSと生成AI、ザハ建築とバベルの塔。禁忌を無邪気に結びつけてきゃっきゃと喜ぶような、露悪的な面白さに貫かれていた。

牧名の描写がドライブ感に満ちていて、作者の筆が走っているのを感じずにはいられない。「考えさせられる」モチーフが絡み合うが、疾走感に身を任せるのも心地よい。人間なんて所詮機械なのだから。

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