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いちばんすきな花 2024/02/16

何か、大きな寓話的な物語が見られるような、そんな佇まいで始まった『いちばん好きな花』は、結局平板な人間関係を描いただけで終わってしまった。

役者はみな上手く、配役が適材適所で、演出もきちんと効果的な作品だった。特に齋藤飛鳥がハマり役だった。積み重ねられる会話はセンスが良く、脚本家の個性が光っていた。それは間違いないけれど。

物語は、全編に「生きづらさ」というモチーフが貫かれ、各々の「生きづらさ」を抱えた主人公たちが描かれる。気弱そうな登場人物たちは、交わることはあっても変化せず、傷つきも成長もしない。友達になるべき人間たちが、軋轢や葛藤もなく友達になり、苦労なく互いを認め合う。それは果たしてドラマなのだろうか。

人物が交流する原理が「対話」ではなく「共感」で、主人公たちと友達になりたい視聴者にとっては傑作なのだろう(それが多数派なのもわかる)が、共感能力に乏しい私には冷たい物語だと感じた。むしろ優しさで視聴者に踏み絵させるような世界観だと思った。

(でも面白かったですけどね)

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