M-1の感想 課長の場合(エッセイ)
今年で47歳になる課長的には、今年のM-1は「さや香」だったらしい。課長的には、ちゃんとした漫才で満足できたのは「さや香」だけだった。「ロングコートダディ」的な、大喜利的な笑いには付いていけなくなった。「ウエストランド」は、俺は悪口が嫌いだから嫌い。「ヨネダ2000」は賑やかで楽しかったそうだ。
年に数度しかお笑いを見ない私の上司は、雑談でその感想を教えてくれる。90年代の、松本人志の洗礼を浴びた世代であるはずなのに、最近では発想の笑いがわからなくなってきたそうだ。歳をとると流行のお笑いが理解できなくなってくる。自分の好みが保守的になってくるのを実感してくるらしい。
お笑い界の流行やトレンドと無関係の、素人的な感想を聞く機会というのは意外と少ない。素人感想といえど、新鮮な視点があって面白いものだ。いまの「お笑い」が、いかに閉鎖的なコミュニティ内での流行なのかがよくわかる。面白さとはリアリティの問題であって、それはどこまでも観客個人の、個別の問題であるべきだと思った。