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スペイン③(エッセイ)

寝落ちしてしまった。21時に出張先のホテルに着いて、おそらく22時頃にウトウトし始めて、目覚めたら25時を過ぎた頃になっている。本来なら連続投稿は途切れるところだけれど、細かな「つぶやき」で保険を掛けておいたのでセーフになる。疑惑の判定のような気もするが。

連続投稿の記録は、たぶん22X日ほど続いていた。裏技を使ってまで無理矢理伸ばすようなものでもないが、いまの私にとっては大きなモチベーションになっているのは間違いない。「つぶやき」て記録を維持しながら、「投稿」でその日の出来事をまとめる。今日は寝落ちしたけれど、それでもセーフという判定のはずだ。

日本とスペインには8時間の時差があるが、インターネットによって同時刻に同じ日記が公開される。改めて考えれば、すごい時代になったものだ。



今日は展覧会の初日だった。夕方からはレセプションパーティが予定されていた。レセプションは市庁舎の議場のような部屋で行われた。会場はセビリア市庁舎の中でも歴史のある、議場のような部屋だった。部屋の中心には3本のシャンデリアが下げられ、壁には歴代功労者の肖像画が掛けられており、こちらのほうが美術館のようだった。

フランクな立食パーティを想像していたら、市長や主催団体の挨拶が続く物々しい式典だった。同僚が壇上で参加証を受け取るときには、撮影係の私まで緊張した。厳かで形式ばった催しを、私は一生好きになることはないだろうが、なかなか無い貴重な体験だったのは間違い無かった。



肝心の会場の方はというと、とくにトラブルもなく無事に終了していった。

参加者に報告書として送付する用の写真を撮っていく。ふとレイアウトの不安が頭をよぎった。昨日の前日準備で設営が二転三転するなかで、急拵えで並べた展示だった。もっと整然と、工夫することもできたのではないか、後悔する箇所ばかりだった。見なかったことにして写真を撮った。

遠いスペインでの開催なので、作家本人や友人が来場することも無い。言葉もどうせ通じないので、観覧客に気を使うことのない、気軽な当番だった。



遥々スペインでの生活は、いまのところ日常からの逸脱として機能している。初めて見る街並は新鮮で、心が躍っている間に陽が沈んでいく。新しい景色に心がワクワクして、よい気晴らしになっている。今日は平穏な一日だった。

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