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整形・31・稲盛和夫(エッセイ)

日曜日の朝、その日は珍しく家にいてワイドショーを観ていた。ワクチンの副反応から熱が下がって、でもまだ37℃あった。番組は安っぽいディベートのコーナーで、議題は[10代の整形はアリかナシか]だった。タレントのコメンテーターがそれっぽく喋っていた。私は前日は高熱で食欲が出なくて、ほんの少しの空腹をお菓子で埋めていた。

「安っぽい」という表現を使ったのは、ハナから「難しい問題ですね」という結論が用意されているように見えたからだ。アリでもナシでも当たり障りのない意見が交わされる、生暖かい時間だった。ナシだろ。私は何度も体温計を腋に挟んでは、待ちきれずに見てしまうのを繰り返していた。

それで、千葉雅也さんの読書会に参加したときのことを思い出した。「社会一般では××と言われていますが、病院に連れて行くのが『大人の役割』です」という風なことを言っていた。内容はすっかり忘れてしまったが、『大人の役割』という言い回しが妙に引っかかったのを覚えている。

今日は8/31だからサーティーワンアイスが31%割引になると言って、上司が奢ってくれることになった。店に着くと割引なんてやっていなくて、キャンペーンはとっくの去年に終わっていたらしかったが、わざわざ暑い中歩いてきたのだからと奢ってくれた。

仕事中に新聞紙が必要になった。近所のコンビニで2誌買ってついでに読んだ。稲盛和夫という人物が死んだそうだった。ネットでは稲盛和夫がラモス瑠偉に吉野家を奢ったという記事を読んだ。普通なら怒られそうなものだが、稲盛氏自身が吉野家を愛していたため(贅沢を避けていたそうだ)、奢られる者も嬉しく感じたのだそうだ。整形しないと生きていけないなんて思っているうちはまだ子供だ。

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