見出し画像

「関係ない」 2024/03/18

主演俳優に性加害の疑惑があるとして、映画の上映を予定していた劇場が中止を発表した。上映が被害女性への2次加害につながる可能性があるという声が集まって、劇場側が中止を決断したようだった。映画なんて昔は見るか見ないかの二択だったのに、今では上映中止を求めることが一般的になったようで、古い人間の私には違和感が拭いきれない。

「関係ない」と言うことがどんどん難しくなってきているのだろうか。犯罪者が映ったフィルムを上映することは、犯罪を助長するわけでもないし、まして犯罪そのものでもない。

ひと昔前、俳優の薬物所持による映画の公開中止が相次いだ時期があった。連帯責任のような形で制作や配給会社が数億円という損害を被らされるケースが相次いで、さすがにこれはよくないという認識が広まっていった。その結果、「作品に罪はない」という意見が一般化して、いくつか公開に踏み切る作品が出てきた。それは良いことだったと思っている。

本来「関係ない」はずの事象が、あれこれと理屈をこねて繋がっていく世の中になった。結果的に同調圧力と相互監視が強くなって、世の中が悪い方向へと突き進んでいるように思える。いま必要なのは「関係ない」とはっきり言うための勇気や理論で、なんでもつながってしまうディストピアをいかに回避するかという想像力だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?