件のグランプリ(エッセイ)
今年の件のグランプリは、あえて一言だけ言うとすれば、「見せ算」だけが救いだった。
愚痴混じりに、いつもの友達と感想戦を交える。審査員から権威が失われて、挑戦者も観客も楽しさを甘受してしまった。審査員と挑戦者、勝者と敗者がボーダーレスに混じり合う寒さ。笑いとは緊張と緩和なのだから、大会の緊張感自体が貴重な財産だった、と失ってから気づいても遅い。
明日以降ゆっくりと考える事柄だろうが、何か大きく変わったものがあるとすれば、それはおそらく観客側だ。かつての「笑い」「面白さ」絶対の基準は過去のものとなり、SNS的な「考察」や「バンドワゴン効果」的なものが優位となった。まあそれはまた折に触れて書く。