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批評も批評される 2024/03/27

音楽評論家の伏見瞬さんが開催したトークイベントが終了後にちょっとした炎上騒ぎになっていた。イベント内での些末な発言が物議をかもして、名前の出されたリベラル系ミュージシャン本人がSNSで反論を表明する事態にまでなった。有志のDIY的なイベントが党派的に分断されていくのを傍目で見ていて、なんだか残念な気持ちになった。

騒動の背景にはミュージシャンの批評家への反発心というものがあるように見える。自ら作品を作り意見を表明するミュージシャンと、都合よく後乗りするだけの評論家。両者はもともと相性の悪い存在だけれど、最近はいよいよ批評をめぐる状況は厳しくなった。行動する人間が正しいという風潮が広まりつつある。

ミュージシャンが政治的な主張をするなとは思わないけれども、どうも物事を単純に白黒つけるような稚拙な意見ばかりで目が当てられない。政治的な意見表明というのも社会への一種の批評行為であって、明るいか暗いしか言えない音楽批評がクソなのと同じように、社会の歴史や文脈を踏まえていない主張もやっぱりクソだ。

ミュージシャンだから、とか、女性だから、とかそういうことではなく、現実の複雑さをすっ飛ばすような言論にはNOを言うのが大人だ。社会がどんどん元も子もなくなっていくからこそ、やはりきちんと言わなくてはならない。

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