どうして鞄が重いのだろう(エッセイ)
他人と居ても一人で居るような気持ちになる。誰かと働いても自分ばかり苦労しているような気分だ。助け合えることはなく、むしろ肩の荷が重くなったように心は黒くなる。
今日は展覧会の設営だった。小作品ばかりを160点ほど、壁に刺した画鋲にキャンバスの背面を引っ掛けていく。会場は冷房の効きが悪く、汗で身体が臭かった。壁に並んだ絵画を眺めて、明日からの多忙を想像して気分が沈んだ。
鞄が着替えや余計な荷物でかさばって重い。どうして鞄が重いのだろう。そもそも誰の荷物なのだろう。境界はいつのまにか侵されていて、私は自分を見失いそうだ。夏は何をしても虚しいのに、誰にもわかってもらえない。