スペイン#3(エッセイ)

展覧会準備をしていると、いつも悲しくなってくる。どうして自分ばかり損な役回りなのか。大変な仕事ばかり回ってくるのか。それは被害妄想なのかもしれないし、客観的事実かもしれない。

他人から言われるまでもなく、自分の感情を主観に過ぎないものとして処理している。客観的に現実を捉えることは困難で、自信を持つ者の主観から通されていく。声を上げられない者は卑屈になる。

夕食、開き直った私は好きなものを頼んだ。よくそんな脂っこいもの食べられますねという同僚を心の中で憐れんだ。何でも美味しく食べる者は人格者だ。恋人の貧しい舌を愛しく思った。

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