見出し画像

侍だったら(エッセイ)

今日は関東が台風の圏内にあったので、折り畳みではなく長い傘を持って歩いた。幸運にも雨に降られず、傘を差すことなく会社に到着した。ビニール傘は使用されることなく、邪魔な手荷物と化していた。戦乱のない時代の侍だったら、帯刀しながら「邪魔やな」とか「重いなコレ」とか思っていたに違いない。雨の日に傘を差すという行為は、ひどく古典的な営みに思えた。



金髪だった新人が、髪を染めてきた。背中まであった髪が肩までになり、黄色が黒に変化しているところまでは良かったのだが、インナーカラーにピンク色がチラチラと見えているのに気づいて落胆した。インナーカラーは「見えないオシャレを自分だけで楽しむ方法」として喧伝されているが、全然外部からを確認できてしまう。ほんとうに勘弁して欲しかった。

上司も気づいていたはずだけれど、注意するのが面倒で放置していた。私も自分と関係ないことに苛々したくなかったので気づかなかったことにした。台風の圏内に居続けたこともあり、今日は終日身体が重かった。やらなければならない仕事も多い日だった。私たちはほとんどムダ口を叩かないまま一日を終えた。



昨日は『絵画と"絵画以外"』ということを書いたけれど、私は「仕事と仕事以外」という問題に直面しているように思った。私は仕事以外の時間に仕事について考えすぎる傾向があるようだだた。「仕事」という言葉を再定義しなければならない時期なのだろう。人生を仕事に支配されないために、もしくは、仕事を通じて人生を充実したものにするために。うまく帯刀できるような感じで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?