ダムタイプ(エッセイ)

ダムタイプの凱旋展がアーティゾン美術館で開催されていた。

真っ暗な展示室に、斜めに方形の壁が設置され、映写された文字が横に流されていく。場内には全方位スピーカーとレコードが配置され、環境音が前後左右から届く。私は耳を澄ませて、目をゆっくりと閉じてみた。美術館で目を閉じるのは初めてだった。

「配置」によって世界が表現される手法は、東寺の立体曼荼羅を想起させる。作品は、サイバースペースに構成された曼荼羅のようだった。動線のない空間をウロウロと彷徨う私たちは、さながら地面にへばりつく小虫だった。

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