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後輩に会う(エッセイ)

土曜日、Sという後輩に会った。Sは会社の後輩で、私が教育係を務めた新人だった。退社後に会うのは初めてだった。彼女は仕事が適わず半年ほどで退社した。私はSの退社後を知らなかった。

千葉駅で待ち合わせをし、駅前のジョナサンに入った。Sと私は、ともに酷い偏食という点で共通している。店内はガランと広く、私たちは窓際の席になんとなく座った。私は空腹だったのでハンバーグセットを彼女はチョコレートのパフェを注文した。

Sはうちの会社を辞めたあと、すぐに派遣社員の仕事に就けたようだった。インテリアを扱う会社で営業事務をしていると言っていた。一緒に働いている時期よりも充実した顔をしていた。勝手に心配していた私は、勝手に安心した。

気づけば、いまの会社の状況が話題になっていた。もうひとり社員が辞めて人手が不足していること、金髪の新人が入ってきたこと、独立を画策していること。疲れていたのか、私ばかりが喋ってしまっていた。ドリンクバーのココアを飲んで、2時間ほどで別れた。

西荻窪に帰る電車で日記を書いた。快速電車で眠り、起きたら雨が降っていた。何か音楽を聴いていたはずだったが、何も覚えていなかった。錦糸町で快速から各駅に乗り換えた。西荻窪に着いたら雨が止んでいて、駆け足で家に帰った。久しぶりに人に会って緊張した日だった。

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