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会社の目を盗んでサボれることに、感謝なんてしたくない(エッセイ)

私の勤める会社は体育会系だ。いわゆる営業会社だから、ということもあるし、上司が昭和九州男児ということも影響している。感じ方はともかく、体育会的な精神を土台として、社内の秩序が構築されている。命令は上から下へ。先輩には責任が、後輩には雑用が集まる。それがうんざりすることもあるし、ラクな日もある。


今日は上司が急な私用で帰ってしまい、終日緊張感に欠けていた。どんなに足掻いても集中力が霧散してしまう。プレッシャーを原動力に働いていたのか!と気付かされるが、今更気づいてもしょうがなかった。欠伸しながら、就業時刻をひたすら待つ。


組織として一番強いのはどんな形態か?具体例で答えれば、それは間違いなく軍隊だ。軍隊は隊員を、人間から兵士へと育て上げる。体育会なんて比較にならない。隊員の主体性を奪い、身体を支配する。生への執着を捨てさせる。隊員が非人間的・奴隷的になればなるほど、組織の力は増大する。


奴隷的な構成員を多数有した団体が、知らぬ間に権力の中枢へと侵略しつつある。自由な主体性を前提とした社会で、隅々まで管理が行き届いた組織が、巨大な力を持とうとしている。それは偶然明るみに出たが、なぜか自浄作用が働かない。すでに社会の要所を押さえているように見える。打ち勝てるのだろうか?


なんとか定時を迎え、帰る途中にカフェに寄った。会社に内緒の副業をするためだ。私物のノートパソコンが立ち上がるのを待つ。職場でこっそり充電しておいたものだ。何事も、本当の解決などはやってこないのだろう。騒ぎから距離を置いて、欠伸でもしながら待つしかない。

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