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いきなり初夏 2024/03/30

目が覚めたら春を通り過ぎて初夏の天気だった。何日か連続で着ていたパーカーを洗濯籠に放り込んで、薄手のシャツに袖を通した。下着類と纏めて洗濯機を回すと、洗濯機の奥で小さな羽虫が動いていた。花粉は気にせず屋外に干す。

今日は何も予定を入れていない日だった。ユニットバスを掃除して、ワンルームの窓際に溜まった埃を水拭きで取り除いた。去年の確定申告用に保存してあった封筒類をまとめて処分した。喫茶店で読みさしだった本を完了して、いまは待ち合わせまでの時間を潰している。

古本屋で買った大江健三郎の短編集が素晴らしかった。鬱屈とした青年たちが不条理な世界に触れる、その手触りがとてもリアルだった。その上に性や戦争が生々しく描かれるのだから、揺さぶられないわけがない。

これほど面白い物語が50年代に発表されていたのだから、後世の我々には何が創れるのかと途方に暮れてしまうが、もう一方で何かを途轍もなく表現したくなる自分もいる。早く読んでおけばよかった。

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