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順応(エッセイ)
胃の調子が悪い。映画を観に行ったら、手持ちカメラのショットに酔って、吐いてしまった。せっかく買ったコーヒーも渋くて残してしまった。身体の芯を冷やしながら吉祥寺から帰る。
昨夜は彼女が遊びに来て、鍋を作った。白菜と葱を山盛にしただけの簡単な鍋だったけれど、うまくできた。簡単な料理を手際よく作れるのは、母親譲りなのかもしれない。いまの家に引っ越してから料理が得意になり、台所も汚れなくなった。
いつのまにか彼女は私の家に詳しくなり、どこに何があるのか、大抵の物の位置を把握している。今では勝手に湯を沸かし、戸棚からティーポットを取り出し、定位置で一服するようになった。それと彼女は異様に寒さに強くて、私は参ってしまう。私は彼女のそういう順応能力に憧れているのかもしれない。