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論破 2024/02/25

ライターの綿野恵太さんがAbema primeに出演していた。議題は「チート」「ハック」についてで、綿野さんはそれに詳しいジャーナリスト的な役割を任されていた。綿野さんが「チート」「ハック」に関する一般的な問題点を提示すると、隣に座るひろゆきが倍の速度で反論を始めた。

曰く、優秀な人間が考えだした妙案を、取り残された人々が「チートだ、ハックだ」と非難するが、学習もせず批判ばかりする人々のほうがよほど害悪だ、云々。議論を整理しようとする綿野さんにひろゆきはさらに畳みかけ、綿野さんは考え込んでしまった。人が論破される瞬間というのを初めて目撃した。

思うに「チート」「ハック」という単語はゲーム用語で、それぞれのプレイヤーがゲームを攻略する方法を指す。「チート」「ハック」という言葉は、ゲーム自体の価値を毀損するような攻略法に対して問題提起している。そして、社会をゲームとして攻略すればよいという考え方には、社会がゲームとして機能するための前提条件への認識が欠けている。

議論もゲームとして捉えれば「勝てば良い」という思考になるのだろうが、だれか一人が勝ったところで全体の利益が毀損されるようでは意味がない。事実、番組はひろゆきの論破で決着を迎えたが、議論は一方的で何の勉強にもならなかった(それはひろゆきの責任でもないが)。けれども、こうした「チート」「ハック」的な社会攻略はどんどん増えていくだろうし、社会はどんどん悪くなっていくだろう。

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