見出し画像

「はじめての牛腸茂雄」(エッセイ)

今日は昼前に目覚めて、簡単な食事を摂って、牛腸茂雄の写真展を観に渋谷に行ってきた。帰りに新宿で出張用の外貨両替をして、荻窪の無印で彼女と合流して、出張のための細々としたものを買い揃えた。いまは家に戻って、スーツケースに荷物を詰め込んでいるところだ。

「はじめての牛腸茂雄」は渋谷パルコの8階で開催されていた。どの写真もカメラとモデルとの間には見えない壁があり、警戒している表情ばかりが並んでいた。警戒心を持っていないのは物心付く前の子供のみで、だから彼の撮る子供は特別だった。彼の写真には憧れや嫉妬が複雑に滲んでいた。疎外感が痛々しかった。

忙しく仕事をしたり恋人と出かけたり、とにかく用事を詰め込んでいる。それは、自分が一人だということを認められないからなのかもしれない。牛腸茂雄の写真には誤魔化しきれないものが滲んでいた。最終日に間に合ってよかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?