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「しごでき」なんて 2024/06/20

はじめのうちは心動かされていた『アンメット』も、最近では杉咲花と生田絵梨花の可愛らしさだけでなんとか見続けていただけで、ほとんど惰性と義務感だけで見るようになってしまった。昨日は第八話の冒頭を再生したものの、テレビの前に拘束されるのが億劫になり、すぐに停止ボタンを押してしまった。

作品は、優秀な脳外科医の杉咲花・若葉竜也が中心に据えられ、隣の病院のカテーテル手術の名医の岡山天音がライバル的な役割を担う。脇を固める千葉雄大や吉瀬美智子もみな敏腕で、脳外科チームは愛すべき人間ばかりという風に描かれている。まるで、愛されるためには仕事ができることが必須条件で、「しごでき」以外の人間には居場所はないと言っているかのようだ。

近頃私のタイムラインには、「挨拶のできない人間は仕事ができない」というような仕事訓が流れてくることが増えた。職業意識の高いビジネスアカウントが規律を発信して、職場で不満を溜め込んでいるような人間が共感し、同調圧力が膨らんでいく。みんな自ら奴隷になっていく。

現代人は、仕事ができない人間になることを極度に恐れすぎている。生産性でしか事物を測れないということだ。生政治そのものではないか。

海外で、あきらかにめんどくさそうな店員に遭遇したりすると、自分の窮屈さを指摘されているような気分になる。いくら働いたって自由になれるわけもないのだから、疎まれながら輪から外れるしかないじゃないか。「しごでき」なんてくだらない呪縛に、人生を乗っ取られてはつまらない。

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