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りりちゃん 2024/04/23

「頂き女子りりちゃん」として話題になっていた容疑者に実刑判決が出た。風俗嬢として男性客から金銭を巻き上げ、そのノウハウをマニュアル化して販売した行為が、詐欺罪として認められたということだった。

罪の大きさに対して、懲役9年+罰金800万円という罰が適切なのかどうかはよくわからない。けれども、そもそも罪という不定形なものを時間や金額という数字で評価すること自体ナンセンスともいえる。

事件の報道を見ていて恐ろしいのは、憎しみや復讐心ではなく、善意で行動に及んでいたように見える点だ。むしろ、現実社会を濁りなく認識して、真正面からハックしているように感じられる。その純粋さがとても恐ろしい。

容疑者は巻き上げた数億円をホストに貢いでいた。自分がホストに貢ぐ行為が正当化されるのであれば、自身に貢がせる行為も正当ということになる。行為には一貫性があり、論理的に矛盾がない。問題は、ただ金額が破滅的に大きいことだけだった。

本人はアイドルや「推し」文化の延長戦として自身の行為を捉えていたのだろう。そう思うと、ロマンス詐欺と「推し」文化には厳密な境界線はない。身も蓋もないことを言えば、「推し」なんて性欲につけこんでいるだけなのだ。

もう何年かすれば、「推し」文化の倫理性そのものが問われるようになるのかもしれない。もしくは、芸能というもの自体が身も蓋もなくなっていくかだ。

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