進んで取り込まれていく(エッセイ)
美容室で髪を切りながら、アシスタントの事情を教えてもらった。アシスタントを使う店では並行して複数の客を切ることになるが、アシスタントも複数人を同時に補佐しているらしい。システマティックに髪を切り続ける仕組みに嫌気が差し、1on1のいまの店に落ち着いたそうだ。
喫茶店で勉強していたら、隣の席にママ友の団体が集まってきた。運動部の保護者グループらしく、合宿や顧問の話題で盛り上がっていた。どうやらリーダー役の母親がいるらしく、彼女が会話の秩序を決定していた。滞りなく共感が生成されていく様子は、規律の取れた部活動のようだった。人間には進んで秩序に取り込まれていく欲望があるらしい。