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M-1グランプリ短評

今年のM-1グランプリは、まあまあ面白かった。それは漫才の大会では無かったからだ。数年前、たしかマジカルラブリーが優勝した年に、「漫才論争」というくだらない論争が起こったけれど、今年はそれ以上にまったく漫才ではないコンビばかりだった。だから逆説的に、一番過激で面白いと思ったのは「さや香」だった。

面白い人同士が会話して順当に面白いのではなく、凡庸な人間同士の会話が「型」によって面白くなるのが「漫才」だ。漫才とは「型」=「芸」であり、それは「謎」ともいえる。その逆説的な「謎」を体現していたのは「さや香」だけだった。

世間では、審査で優勝したウエストランドについて、毒舌の是非が問題になっているようだけれど、そんなことは些細な問題に過ぎない。M-1グランプリが漫才の大会であるのなら、漫才という「謎」こそ解明されるべきであろう。今年はその謎が謎のまま画面に定着していたという意味で、「まあまあ面白かった」と思った。

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