
【旅日記】北九州のちょっと変わった鉄道乗り歩き(1)
福岡に行く用事があったので、ついでに少し乗り鉄をしようと計画を立てました。
用事があったのは天神と、大濠公園のあたりなので、本来ならそのエリアで宿を取るべきなのでしょうが、翌日乗り鉄してから帰るとなると博多駅起点で、最後は福岡空港ですからやはり博多終点ともいえます。
2泊3日、かつ違う目的の旅の組み合わせなのでどうしても荷物が多くなりがち、キャリーの出番ですが、キャリーを引きずりながら乗り鉄したくない、ということで最終日にチェックアウト後も荷物を預けておいて、帰る直前に回収して空港へ向かうということにし、博多駅からできるだけ近いホテルを予約しました。幸い早く予約したので、比較的リーズナブルなおねだんで予約できたのは幸いでした。
実は、後になって、私の福岡滞在中にSixTONESのPayPayドームライブが開催が発表され、福岡市内のホテルは争奪戦になって値段も高騰したのでした。私と同じ用事で福岡に向かった人たちの中にはホテルが取れずに一部予定を短縮して帰られた方もいらっしゃったほどです。
自分が推し旅をしているので、他人のことをとやかく言える立場ではありませんが、昨今の推し旅のエネルギーはとんでもないことになっていますね。
福岡では以前にもスマップのコンサートと被ったことがあって、その時は私は熊本で宿泊することとなりました。その時と比べると福岡市内の宿はだいぶ増えたようですが、それでも大規模ライブの影響は避けられないみたいです。
旅の計画をしていて、ホテル予約いつもと違って宿が取りにくいなぁと思ったら、その都市でのライブやイベントのスケジュールを調べてみるといいと思います。ドームライブなどがあると、東京、大阪、名古屋以外ではほぼ壊滅的になるので、可能であれば旅程を調整したほうがリーズナブルな計画になると思います。
特急ゆふで出発
前段が長くなりました。
そんなSixTONESライブのおかげでホテルの宿泊客もインバウンドの方々に加えて若い女性が多かったですが、朝8時前にチェックアウトし、キャリーケースを預けて出発しました。
この日使うのは、JR九州の株主優待でいただける一日乗車券です。JR九州全線乗り放題。新幹線、特急などは料金別払いですが乗車券としては使えます。

この日の目的は3つありますが、ひとつめの日田彦山線BRTに乗るため、まずは日田に向かいます。普通列車で行こうと思っていたところ、ホームに上がったら特急ゆふ1号がエンジンのアイドリングを響かせて停まっていました。時計をみると発車まであと1分、車内をのぞいてみるととがらがらです。
じっくり考える時間のない中、特急で先行する分には何もデメリットはない、ということで自由席車両を確認して飛び乗りました。JR九州はまだ自由席があるので、こういうときは便利ですね。まあ、滅多にないことですし、全車指定でもがらがらであれば車掌さんに申告すれば何とかなりますけど。

席に着いたところで早くも発車。程なく通りかかった車掌に申告して自由席特急券を発券していただきました。
列車は南福岡駅まではのんびり。前の普通列車が詰まっているようでした。南福岡を過ぎるとようやく本来の走りに。南福岡に続いて基山でも普通列車を追い抜きます。
鳥栖駅では左にサガン鳥栖のホームスタジアムを眺め、久留米からは久大本線に入ります。
久大本線では久留米大学前、筑前吉井とこまめに停車しながら、日田には9時過ぎに定刻で到着しました。特急ゆふは、この先、由布院、大分を抜けて別府まで向かいます。これからが山越え区間で景色も良くなるのですが、ちよっと残念。
日田駅の駅舎は数年前に訪れたときと異なり、新築となっていました。たぶん地元日田産と思われる木材をふんだんに使ったおしゃれな駅舎です。
暖かくて居心地のいい待合室もできていましたが、売店ひとつないのは残念。スペースあるのだから、観光案内所と売店兼土産物販売コーナーでも作ればいいのに。

日田駅前には「HITA」というオブジェが。
でも、実は「I」がありません。「愛のない日田」と思いきや、「I」が抜けているところに人が立って記念撮影することを目的にしたもののようです。この日は観光客はほとんどいなくて、ひとつの若者グループだけが撮影してました。

日田彦山線BRTに乗る
寒いし何もすることがないので、待合室で時間を潰してから、やはり新しく作られた駅前ロータリーにやってきた日田彦山線BRTバスに乗り込みます。
BRTなのですし、駅舎も新しくしたのだから、バスをホーム横づけできるような構造にすればよかったのにとと一瞬考えましたが、鉄道乗り換え客より日田の地元の方の利用の方が多いならこの方が現実的かなとも思いました。
バスは、普通の中型の路線タイプです。一部にはEVも入っているということでしたが、確かEVは小型バスだったような気がします。


日田彦山線は2017年の水害で大きな被害を受け、添田〜夜明間で運休となり、添田と日田の間は代行バスが運行していました。鉄道での復旧には多額の費用がかかることからJR九州は地元との協議の上でBRT(Bus Rapid Transit)として復旧、運行することを合意し、2023年8月から運行を開始しました。
BRTには路線によっていろいろなタイプがありますが、ここはあくまでバス路線の位置づけ。ですので、鉄道との通しきっぷは連絡運輸の形となり、JR
九州以外のJRでは発売されなくなりました。JR九州で発売する場合も鉄道側の駅が限定されています。とはいえ、現在のところ、運賃水準・体系は鉄道に準じています。
そんな具合なので、JRの長距離普通乗車券に日田彦山線のこの区間を組み込むことはできなくなりました。幸い最長片道きっぷの経路には影響なかったようですが。
日田駅を発車したバスは、市街地を西へ進みます。
光岡駅の小さな駅前広場にわざわざ寄って切り返しして発車、夜明駅は道路から入ったところに専用のバス停スペースが設けられていました。
夜明駅を過ぎると久大本線と別れ、国道211号に入っていきます。
ここから宝珠山駅までの一般道では、従来の駅に比べて大幅にバス停が増やされていて、これが代行バスの時と異なるところです。
今山駅は、以前の駅だったところをロータリーとバス待合所として整備しており、プラットフォームもそのまま残されていて、鉄道の駅だったことがよくわかります。


宝珠山駅からはBRT専用道、つまり元の日田彦山線を舗装整備して作られたバス専用道に入ります。他のBRTと同様に、専用道の入り口や一般道と交差する場所には専用道側に遮断機が設けてあり、一般車が誤進入しないようになっています。

次第に勾配をあげて大行司駅。ここでは下を通る一般道よりかなり高くなっています。このあたり鉄道としてはかなり急勾配もあった区間ですが、バスにとってはそれほどの山道ではなく軽々と走ります。
途中短いトンネルをいくつか抜けながら、山あいのきれいな景色を堪能できるとても乗ってて嬉しい区間です。
そして筑後岩屋駅に到着。ここで日田駅ゆきのBRTとすれ違います。



BRT専用道は、もとの鉄道の幅に制約されます。もとの鉄道はローカル区間では単線ですから、舗装しても大型車が一台通行できるのが限界、すれ違いは鉄道同様に、駅などですれ違い設備を設ける必要があります。
筑前岩屋を過ぎると、釈迦岳トンネルに入ります。長さ4300メートル以上。真っ暗なトンネルが延々と続きます。最近は高速道路などで長いトンネルも増えましたが、すれ違えない狭い幅の道路トンネルでこれだけ長いものは他にないのではないでしょうか。
彦山駅でBRT専用道は終わり、ここからは再び一般道となります。
宝珠山から彦山までも鉄道ルートのBRT専用道で抜けるのは一般道経由より約5キロ短くなっていて、時短効果はありそうです。
道の駅である「歓遊舎ひこさん」にもバス停があり、ここから大量乗車があったのはちょっと驚き。道の駅での買い物にも利用されているんですね。もっとも、BRTで新設されたバス停ではなく、鉄道時代に駅が作られていました。
そして1時間半かかって、添田駅に到着しました。
添田駅は、日田彦山線ホームにバスが横づけされる構造になっていて、
段差なしで鉄道とバスを乗り換えられるようになっていました。


BRTの乗客は、全区間乗り通したのが、私以外にひとり、それ以外の区間乗車はふたりと、ちょっと寂しいものでしたが、最後に道の駅から10名近くが乗ってこられたのはよかったです。
後半へ続きます。