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どうしてドイツに来ちゃったんだろう|#5 MHHの病院設備

2021年10月、コロナ禍にもかかわらずドイツに降り立ってしまった口腔外科専門医(アラフォー)。短期留学プログラム (AO CMF Fellowships) へのアプライ、パンデミックによる二度の延期、実際にドイツにたどり着いてからの顛末をお届けします。
第5回は病院設備をご紹介。

まもなく私のドイツ滞在も終了です。
12月に入って以降、ドイツの Covid-19 感染拡大が止まりません。ハノーファー医科大学 (MHH) でも救急患者さんのなかに感染者や濃厚接触者が増加傾向にあり、色々な手続きや感染対策が面倒なことになってきています。

前回の記事はこちら。

ハノーファー到着直後、アパートのシャワーから冷水しか出ないという、あまりにもベタベタな洗礼に見舞われた翌週、ついにMHHでの実習が始まりました。

ドイツ人は総じて朝早くから働く習慣があり、ここMHHでも朝7時半からカンファレンスが行われます。

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まだ誰もいないカンファレンスルーム。

なんと1週目は2名いらっしゃる教授がともに秋休みで不在でした。

カンファレンスでは前日の当直帯での救急患者さんの報告や、当日の予定手術の検討が行われます。もちろんドイツ語(しかもドイツ人は思っていたより早口)で行われるため、学生時代にドイツ語の授業をテキトーに受けていた人間には正直つらい。

「まさかと思うかもしれないけど、それ20年後に使うぞ」
と18歳の自分に伝えたい。

30分ほどのカンファレンスの終盤で、自己紹介をさせていただくタイミングがありました。といっても英語で質問されて答える形式でしたので、準備していたドイツ語の挨拶は使えませんでした。

なお、ドイツの大学では拍手の代わりに机をノックするという習慣があります。私の自己紹介の最後に実物を初めてみましたが、20人以上のドイツ人が ”Welcome!” とか言いながら机をノックしまくる光景、異様です。

MHHは診療科ごとに建物をもっており、歯学部も独自の校舎(地上6階・地下1階)を持っています。

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校舎も少し見せてもらいました。

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講義室には診察ユニットが設置。講義中に実際の患者さんを治療することもあるそうです。

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学生用技工室

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中央技工室には3Dプリンタやモデルスキャナーもありました。

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保存・補綴の診察室では指導医に質問するために学生が列を作っていました。どこも一緒。


口腔顎顔面外科 (Mund-, Kiefer-, und Geschichtschirurgie: MKG) は外来が2階、病棟と手術室が6階にあります(呼び方は外来がH0、病棟が4階で紛らわしい)。

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外来はKaVoのユニットが入っていました。

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病棟

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手術室

ちなみに、ドイツ留学経験者の中ではよく話題になることですが、ドイツでは手術室の隣に前室があり、そこで麻酔導入を行います。

外科医は麻酔がかかってから手術室に現れて、手術が終わったらすぐに居なくなるため、患者さんは覚醒中に手術室で外科医に会うことはほとんどありません。

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手前が前室、その向こうに手術室

麻酔科の先生から、日本ではタイムアウトはどうやるの?と尋ねられたので、
「たいていの病院が、患者さんの入室時に、外科・麻酔科・看護師・患者さん本人の4者で確認するよ」
と答えたら、非常に驚いていました。

MKG は独自の手術室を病棟フロアに2室、外来に2室有しており、毎日全身麻酔の手術が5〜8件ほど行われています。

「どれでも好きなのを見ていいよ、来たくない日は連絡だけしてね」というスタンスなので、ほぼ6階の手術室に常駐しています。

見学、手洗いをした手術はすべて AO CMF にウェブ経由で報告するシステムになっています。

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正直なところ、抜歯や抜釘のようなものは省略していなくもないのですが、いまのところ週10件ほど入力しているようです。

今回はこのへんで。

次回以降は実際の術式について絵や写真を交えて解説しようかと思いますが、帰国後になるかな…。

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