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【専門課程レポート】「連ゼミ」第5期 第3回目講義

こんにちは!
次世代まちづくりスクール「連ゼミ」TA(ティーチングアシスタント)の竹屋です。
12/19(月)に行われた第5期「連ゼミ」の第3回ゼミの模様をレポートします。

本日も近況報告等の雑談からスタートしました。
また、これまでにゼミ内で紹介した4冊の必読書についてのおさらいがありました。
必読書を教えて頂けるのもゼミならではの特権ですね!

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第3回のゼミのメインテーマは「用変リノベ」です。(用変=用途変更)
前回のゼミで紹介した「最小限リノベ」との“つながり”でもありますが、ある種の暫定的な利用やちょっとした実験からリノベを始めてみることで、手ごたえを感じるのが大事です。
そこからアイデアが自然と生まれてきます。
本日のテーマである用途変更についてですが、例えば住宅を住宅として付加価値をつけるのと、用途を変更する場合ではテクニックが必要となります。

●地域には建てられる建物の用途が決まっている


建物を建てる際には確認申請が必要であり、その中で細かく用途が定められています。(建築基準法施行規則)
用途変更は、法律的に決まっている用途を変えるという作業が必要になるので、それに付随してテクニカルに抑える必要があります。
(国土交通省の資料を用いて、土地利用計画制度のイメージや、市街化区域・調整区域・用途地域等について説明)
地域によって建てられる建物の用途が決まっていることをしっかり押さえておくことは、用変リノベにおいては基本中の基本です。用途地域をしっかり理解しておくことが、用変リノベを考える際に重要になります。

建築基準法における「用途変更」においてチェックすべきポイントは以下3点で、はじめの2点が特に大事です。

  • 床面積が200㎡以下か?

  • 特殊建築物(※)かどうか?
    ※不特定多数が出入りする建物のこと

  • 類似用途への変更か?:同じ用途であれば問題ない

    用途変更において確認申請が必要となるのは、特殊建築物の用途となる部分が面積200㎡を超える場合です。確認申請が必要かどうかの確認が大事になります。
    (シェアハウスは寄宿舎扱い、特殊建築物となるので住宅→シェアハウスは確認申請が必要)
    連教授は過去に住宅→シェアハウスの用変リノベに関わった事例があり、関係する様々な法規のうち、特に大きいのは界壁(部屋と部屋の間の壁)で、この規定を守ることが非常に難しいとのことでした。

    ★確認申請を出さなくても適法させる必要あり
    改修する対象面積が200㎡以下であれば確認申請は不要ですが、関連規定や遡及対応などは必要になります。
    ★既存不適格と違反建築物
    既存不適格建築物を増改築する際の建築確認申請では「既存不適格調書」を添付することが求められます。確認済証や検査済証があれば建築確認の申請は行いやすいですが、なければ申請が困難になります。
    違反建築物は建築した当初から法規不適合な建物であるため、活用が難しいです。

    ここで、以下の質疑が行われました。
    「用途地域は建物に被っている場合はどのように考えれば良いか。」

    上記を踏まえて、次は事例に移ります。

●事例紹介

①宿毛まちのえき 林邸(高知県宿毛市)


古谷誠章さんという、早稲田大学出身の建築家の事例です。
メリハリをつけたクレバーな改修で、耐震補強も実施しています。
詳しくはHPをご覧ください。(HOME - 宿毛まちのえき林邸 (hayashitei.com)

②101BASE(東京都中央区日本橋)


築57年経過した建物の改修事例で、法的な裏付けを持って進められたプロジェクトです。
能作淳平(能作淳平建築設計事務所)が改修を手掛けた中央区の路地裏に位置する倉庫を改修したオフィス「101BASE」という事例です。広告に関わる企業の新しいワークスペースで、法規監修には佐久間悠の建築再構企画が関わっています。
詳しくはHPをご覧ください。(取り残された倉庫に光を入れる – JUNPEI NOUSAKU ARCHITECTS

③キタの北ナガヤ(大阪市北区中津)


“中津らしさを引き出す再生”をテーマに、建物再生活動Batonshipを中心に、2018年に再生された複合ナガヤの事例で、まちづくり・用途変更という視点でクレバーな事例です。
“共同住宅”と“長屋”は同じ住宅ですが用途という視点で見ると異なります。共同住宅は特殊建築物に該当しますが、長屋は特殊建築物ではありませんので注意が必要です。
もともと長屋住宅だったものを事務所・店舗・宿泊施設に変えていて、1階部分が店舗・事務所、2階が宿泊施設になっています。
この事例においては、用途変更の建築確認申請を要さないように特殊建築物への用途変更に該当する場合、当時の基準である100㎡に収まるように調整しています。
詳しくはHPをご覧ください。(キタの北ナガヤ (kitanaga.com)

④ニシイケバレイ(東京都豊島区池袋)

須藤剛建築設計事務所が設計した池袋の事例で、HPには下記のような記載があります。
詳しくはHPをご覧ください。(index - ニシイケバレイ (nishiikevalley.jp)
(以下、HPより引用)
「西池袋 (ニシイケ) 」のビル群の下、さまざまな支流が合流する「谷 (バレイ) 」のような場所に広がる街、ニシイケバレイ。目指すのは、この地域の人々の拠り所となり、健康で文化的なくらしをみんなで育んでいく、“まちの家”になること。「Chanoma(茶の間)」「Syokutaku(食卓)」「Attic(屋根裏)」など、それぞれのエリアを部屋に見立てながら、現在進行形で再開発に臨んでいます。
この挑戦に共感してくれる人々と、一日でも早く、この谷で合流できることを願って。丁寧に、大胆に、エリアリノベーションを進めていきます。

この事例では、主に3棟(住居・共同住宅2棟)を軸とし、地域の新しい拠点にするために住居→カフェ・レンタルスペースに、2階をシェアキッチン・オフィス、マンションの部屋をSOHO(住居・店舗・アトリエ)にそれぞれ用途変更を実施しました。
近年のまちづくり界隈では注目プロジェクトとなっています。この事例は単独のプレイヤーがやっているわけではなく、様々な専門家がチーム一丸となって取り組んでいます。
建築家あるいは設計者でも用途変更に関わる法規は難しく、一人ではできないことがほとんどなので、協力者を集めるのが必須です。

⑤母の家/藤村隆二

東京郊外のニュータウンの一角にある住宅を改修し、交流空間をつくるプロジェクトの事例です。
耐震補強等は実施しており、単に戸建住宅として改修しているわけではありません。住宅地の中で、ちょっとしたコミュニティの醸成につながるように改修されました。
詳しくはHPをご覧ください。(母の家 <住宅リノベーション> | 所沢の工務店|クラフトマンスタジオ (craftsmanstudio.jp)

上記の事例に通ずることとして、住宅を丸ごと変えるわけではなく、住宅として使いながら上手に改修したりデザインを調整することで、まちに開かれた使い方ができるということが挙げられます。
戸建住宅は面積が広いので、これからどう使っていくかという点では“使い方の構想力”が求められます。

●本日のゼミまとめ

  • 事業計画:マーケティング、企画検討、資金調達

  • フィージビリティスタディ:用途変更の際にハードルになる法規や改修の個所の確認

【参考図書・文献】
・オープン空き家構想 コンバージョン(用途変更)による住宅の利活用ガイドブック(Webでダウンロードできるタイプの文献)(https://zenko-kyo.or.jp/lp202111_2/?utm_source=yahooSS&utm_medium=cpc&utm_campaign=seminar&yclid=YSS.1001096043.EAIaIQobChMIydPy09O6_AIVTaWWCh07yQ5wEAAYASAAEgKyG_D_BwE
・増改築の法規入門(https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/19/276340/

最後に、以下の質疑がありました。
「チームを組む際のメンバー(専門家)は、どこで見つけられるのか?」
「消防法について、どのように気にして進めていくか?」

●本日の感想

「用途変更」という言葉を聞いたときに、ハードルが高い、行政との協議や手続きがめんどくさそう、といったイメージを真っ先に考えてしまいがちです。
しかし、大事なのは空き家の将来的な活用・コミュニティイメージを持つことであり、それらを踏まえたうえで手続きを進めていくため、まずは活用方法をしっかりとイメージすることを念頭に置いて活動していくべきだと感じました。

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